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デジタル時代、これからのOOH活用

データドリブンなOOH運用を進化させる鍵「生活者行動の解像度をいかに高められるか」

岡 博之氏(メトロアドエージェンシー)

データを活用した広告配信は、デジタル媒体だけではなく、アナログなメディアでも導入が加速している。それは、OOHも例外ではなく、ターゲットに合わせた広告のメッセージ配信、リアルタイムな行動データを駆使した戦略的な展開ができるようになってきた。昨今の広告戦略において不可欠なデータ活用を軸に、より効果的かつ効率的なOOHキャンペーンを展開するためにはどうすればよいのか。本記事では、OOH広告をデータドリブンに運用する方法に焦点を当て、効果的な戦略構築から最新テクノロジーの活用法をメトロアドエージェンシーの岡 博之氏が解説します。

仕事や買い物など、目的地へ向かう際に利用する街や駅には様々な広告物があります。果たして、広告の前を実際に通過した人数や、それぞれの趣味や趣向、広告を見た人の年齢層はどのくらいなのか、疑問を感じたこともあるのではないでしょうか。

また、出稿側は、駅前など交通量が多いからきっと誰かが見ている、長く同じ場所に出稿すればよい、などと考えていないでしょうか。他には、ひとつのクリエイティブを様々な媒体に使い回す、ワンソースマルチユースになっている可能性もあると思います。

駅のOOHに限定していうと、今まで多くのOOHは、年に1回の調査から、利用者数や性別、年代の構成割合を調査して属性傾向を導き出していました。

しかし、属性傾向とは実に曖昧で、漠然としたもの。だからこそ、マスマーケティング化とワンソースマルチユースなクリエイティブになってしまう懸念が生じるのです。さらに、生活者のライフスタイルが多様化してきていることから、マスマーケティングではなく生活者一人ひとりに合ったマーケティングが重視されている現状があります。つまり、最適な「ターゲット」に、最適な「タイミング」で、最適な「内容」の展開が、これからのOOHにとって重要になってくるのです。

例えばコンビニは、生活者の行動動線に基づいて店舗設計がなされ、最適な内容(品揃え)になっていますよね。店舗は、狭い空間だからこそ、人々の行動動線に基づいた品揃えや陳列の設計が可能となります。

では、OOHで考えてみましょう。OOHの対象空間は非常に広く、生活者の行動動線が多様化していることから、コミュニケーション設計が難しいことが課題です。

そこで、視聴空間にどれだけの人がいたのか、実際にどれだけの人に見られたか計測すべく、AIカメラや位置情報データとの連携が進んでいます。

進化する行動データの世界生活者に届くOOHを叶える

ある鉄道会社では、車両内ドア上のサイネージ内にカメラとIoT機器を搭載することで、AIが車内の映像を解析し、環境に応じた表示内容や広告を切り替える取り組みを実施しています。なお、広告以外にも、気象情報や運行情報など、生活者に有益な情報を出し分けができつつあるようです。

また別の鉄道会社では、駅に設置したサイネージにカメラを搭載し、周辺の通行者の通過日時や属性、視認の可否に関する推定データを解析していたりします。その他、カメラだけでなく、空間データや流動量調査などと掛けあわせ…

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