顧客ロイヤルティを高めるために、欠かせない要素である「行動的ロイヤルティ」。その重要性を理解し、向上させていくために、4つの施策を実施することが有効だという。「行動的ロイヤルティ」とその向上施策について、KPMG FAS 執行役員の伊藤勇次氏が解説する。
近年、消費者の購買行動は大きく変化してきています。Eコマースは確実に主要な購買チャネルとして確立されています。また、消費者が商品を選ぶ際も、価格や品質という従来の判断基準に加え、ヘルス&ウェルネスやSDGsといった生活習慣や社会的意義に依拠した要素が増えるなど、これまで以上に、またこれまでとは異なる顧客ロイヤルティの向上のための努力が求められています。
本稿では企業にとって購買に直結する顧客の行動的ロイヤルティについて言及するとともに、行動的ロイヤルティを高める方法について説明します(図1)。
行動的ロイヤルティを高めるメリット
顧客の行動的ロイヤルティを高めるということは、企業にとって具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
①LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上
行動的ロイヤルティの向上により、顧客が自社の商品・サービスを継続して購入・利用したり、より高単価な商品・サービスに買い替え(=アップセル)たり、また他の商品・サービスの購入(=クロスセル)にまで広げてもらうことで、一人の顧客から得られる累積利益が高まります。これは行動的ロイヤルティの高まりを評価する重要な指標となります。
②NPS℗(Net promoters Score℗:顧客推奨度)の向上
NPS℗*1とは、購買者自身の継続購入及び、他者への推奨度をスコア化する計測方法のことです。このNPSが高いということは、例えば顧客自身が企業、商品・サービスに対する好意的な口コミを投稿したり、SNSでそれらを拡散し共有したりなど不特定多数に広めてくれることが期待され、企業がブランドイメージの向上や商品説明にコストをかけるより、効率的に新規顧客を取り込むことが期待されます。
行動的ロイヤルティを高める4つの施策
ではその行動的ロイヤルティを...