3つの視点で捉える顧客ロイヤルティ
顧客のLTV向上に一役買っている「顧客ロイヤルティ」を考える上で、どのような視点で顧客や消費行動を捉えるべきか。マーケティングの戦略を考える上での3つの視点について青山学院大学経営学部マーケティング科教授、小野譲司氏が解説する。
小売・サービスが実践する「ロイヤルティプログラム」
幼児の学習法で累計利用者数約130万人のベネッセコーポレーション「こどもちゃれんじ」。新規入会者の約4割が友人や兄弟を通じた「紹介制度」を利用した加入となっている。会員の満足度を高め、「お客さま」起点の発信を生む施策について、紹介制度プロジェクトチームに聞いた。
桐原:来年で35周年を迎える0歳〜6歳向けの学習・成長支援サービスです。例えば3〜4歳であれば「ひらがなの読みプログラム」など、専門家が監修したその時期や年齢にあった教材・カリキュラムをご用意しています。これまで約130万人(11月末現在)の方に受講いただきました。
「こどもちゃれんじ」の「紹介制度」は友だち・兄弟など会員の方からの紹介で入会すると、入会者・紹介者それぞれひとりにひとつ選べるプレゼントを差し上げる制度です。紹介いただいた方へのお礼をこめた制度として始まりました。
五島:当社には0歳〜18歳向け全ての講座で「紹介制度」を設けており、「こどもちゃれんじ」についても長く実施しています。「こどもちゃれんじ」について紹介制度を利用して入会した方は、多い時で新規入会者の約40%に上ります。また、平均でも入会者の約30%を占めており、ベネッセの他の講座に比べても割合が高くなっています。
「こどもちゃれんじ」の「紹介制度」でもらえるプレゼントの一例。お客さま視点の開発を進め、アンバサダーによるSNSの投稿も活発だ。
桐原:サービス開始時期から変わらないのですが、特典のプレゼントは紹介した会員の方の分も新規入会者のもとに届きます。これは、双方のコミュニケーションのきっかけにもなっています。また、コロナ禍以前は、保護者の方々は幼稚園の送り迎えなど対面でのコミュニケーションが多くありました。「こどもちゃれんじ」のプレゼントはTシャツなど身につけるものが多いので「それどうしたの?」という会話から紹介につながる事例もありました。
桐原:紹介制度には大きく分けて、兄弟、親族からの紹介と友人からの紹介の2パターンがあります。特に後者のパターンは、コロナ禍で利用者が減少してしまいました。前述したように、プレゼントは紹介された方のところに2つ分届くことが...