POPは売り場という購買に一番近い場所で、生活者に訴求できるメディアだ。人を動かし、買ってもらうためのPOPについて、全P連(全日本POPとそれにまつわる諸々のこと連盟)の八住敦之氏と関戸康嗣氏が解説する。
POPはお客さまが商品を買う際のコミュニケーションツールです。言い換えればその役割は「接客」。ここではお客さまのココロを動かす購買体験に繋がる接客をリアル店舗のPOPを通して行ってきた経験から、戦略立てて放っていくノウハウをご紹介します。
初めに、我々全P連はかつてヴィレッジヴァンガードという書店に所属していたメンバーのユニットです。今までありとあらゆるジャンルの商品にPOPをつけまくること10万枚。ヴィレッジヴァンガードはPOPでフィーチャーされがちな店ですがそれには訳がありました。それは当時のスタッフたちが往々にして口下手、コミュ障、威圧感を与える外見等の理由でお客さまへの接客がままならなかったというまるでマンガのようなエピソード。
しかしお客さまに喜んでもらえるユニークなネタや情報に溢れているスタッフたちは、その想いを店内のいたる場所からPOPというコミュニケーション手段で放ちまくっていたのです。
POPで放つ ジェットストリームアタック
POPについてのよくいただく相談が「お客さまのココロを動かすPOPが書けない」。全P連がそこでよく感じることは「無機質で戦略のないPOPが多い」ということです。
スペックや価格で訴求するPOPがその原因とされがちですが、「コト消費を訴求するPOPも努力している」という声も多く聞きます。お客さまに届けたいメッセージが空を切ってしまっている。それはコミュニケーションを放つ場所や内容が適当でないからかもしれません。
それには、お客さまの購買ジャッジに繋げるための「POPを3つのレイヤーに分けたコミュニケーションの取り方」が有効です。名付けて「POPで放つ、ココロを動かすジェットストリームアタック」。
ここではリアル店舗においてのPOPを題材に、それを戦略的に放っていく上で、店舗内のレイヤーを「空間」「売場」「商品」に分けてご紹介します。POPという一括りに見えがちなコミュニケーションが、絶妙な三位一体、それぞれの効果を発揮していきますので刮目ください。
ファーストアタック:空間
ファーストアタックは「空間」から。狙うはお客さまの「目的やルール」です。この店での向き合い方や固定観念を変換し、「この店で買ってみたいかも」の...