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売りにつながる!「言葉」の使い方

「どうして売れない?」がコトバで好転 「売れるオファー」の作り方

大橋一慶氏(みんなのコピー)

どれだけ優秀なコピーでも、反応に伸び悩むことはある。そんなとき考えたいのが「オファー」。2〜3行で伝えるたった1つの約束が、反応を大きく変えてしまうことは、めずらしくない。売れるオファーの作り方について、みんなのコピーの大橋一慶氏が解説する。

クリックは多いし、ページは読まれているけど申込みが少ない。リストをたくさん集めたのに、買ってくれる人が少ない。このような状況は、ダイレクトマーケティングの現場でめずらしくありません。買ってくれそうな人が目の前にいるのに、なぜ、思うような反応が得られないのか?この問題に風穴を空ける方法の1つとして紹介したいのが「オファー」です。

オファーとは「お客さまへ約束する魅力的な取引条件」のこと。保証やサポート、特別価格や特典など、いろんなオファーが存在しますが、正しく使いこなせば、特効薬的な効果をもたらします。例えば、以前セミナー集客に悩んでいたクライアントがいました。しかし、LPに「ドタキャン保証」の案内を追加すると、すぐに満席。オファーは文章にするとたったの数行ですが、販促効果の飛躍が期待できます。

※ドタキャン保証→当日連絡でもキャンセル料が発生しない約束

なぜ、オファーは効果的か?

それでは、なぜオファーが効果的なのか。その理由は、お客さまの誰もが抱える「購入への不安」を氷解するからです。要するに「買い物に失敗したくない感情」を払拭するのです。失敗したくないという感情は強力で、申込む寸前でお客さまは「手に入れるベネフィット」と「失敗したくない感情」を天秤にかけます。

そして、多くの場合が「失敗したくない感情」に傾いてしまう⋯⋯。この現象は、ノーベル経済学賞を受賞した心理学者「ダニエル・カーネマン」の研究(プロスペクト理論)から見ても明らかです。この研究では、人は得る喜びより、失う痛みを2倍以上強く感じることが示されました。購入における失う痛みとは「お金」です。どれだけ購入意欲が高まっても、お客さまの多くは、「でもやっぱり」と躊躇し、購入にブレーキを踏んでしまう⋯⋯。しかし、秀逸なオファーは、ブレーキではなく、アクセルをベタ踏みさせる効果をもたらします。

有名企業も活用するオファー

多くの有名企業は、痛みを払拭するオファーを効果的に使いこなしています。実は私たちは日ごろからオファーに触れ、それを購入の決め手としていることが多いです。例えば、2020年に国内有料会員数500万人を突破した「Netflix」。日本上陸当初は、無料体験オファーがありました。「面白そうだけど、使ってみるまでわからない」という不安を払拭するオファーがあったからこそ、当初は目新しいサービスであったにも関わらず、多くの人が利用を決めたのではないでしょうか。

パーソナルトレーニングを提供する「ライザップ」の「30日全額返金保証」も秀逸なオファーです。高額なため、多くのお客さまが「良さそうだけどサービスがあわなかったらどうしよう」「効果を実感できなかったらどうしよう」と感じるでしょう。しかし、その不安を払拭する「返金保証オファー」があったからこそ、多くのお客さまが安心して利用を決めているのではないでしょうか。

中小企業のオファー事例

オファーは、資金に余裕のある大手・中堅企業だけに許された戦略ではありません。例えば、以下は当社が経験した中小企業の販促事例ですが、オファーの追加によって、優れた効果が得られました。


【事例①】
ほとんど売れなかった、整骨院向けの治療機器(1台70万円)。1週間無料のお試しオファーを追加することで、申込み増加。


【事例②】
ゴルフシャフトの通販広告。度重なるシャフト調整(リシャフト)が求められるので、そもそも通販では売るのが難しい商品。熟練クラフトマンが、90日以内であれば何度でも無料でリシャフトするオファーを用意することで、8万円の商品が数日で完売。


【事例③】
餃子の通販。既存客へ「〇月〇日までに餃子を追加注文したら1年間送料無料」のオファーを案内すると、リピート購入増加。


【事例④】
2〜3日に1件、注文があれば良い方だった「ぬか玄米カイロ」。販売ページに返金保証オファーを追加することで、1日あたり1〜2件の注文が入るように。


また、秀逸なオファーは、販促効果を高めるだけではなく、ビジネスそのものを急成長させる可能性も秘めています。

その昔、アメリカに小さなピザチェーン店がありました。その後、瞬く間に世界で1万8000店舗を展開する巨大企業へ成長します。その企業とは「ドミノ・ピザ」。創業者のトム・モナハンは、ドミノ・ピザの成長を語るうえで、あるオファーが欠かせなかったと言います。それは「30分以内にアツアツのピザが届かなければ無料」というオファー。このオファーは当時、どこのデリバリーピザ屋でもやっていないオファーでした。そのため、世間の注目を大きく集め、ドミノ・ピザの名を、広く知らしめる効果をもたらしたのです。

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