購買チャネルの広がりにより、ネーミングの重要性が高まっている。店頭はもちろん、ECやSNS上で表示される商品・サービス名は、時として絶大なプロモーション効果を発揮する。商品自体の在り方、見え方を変えるネーミングについて、日本ネーミング&リサーチの三浦麻衣氏が解説する。
社会の急速なデジタル化を受け、実店舗からECへ、衝動買いから目的買い・指名買いへの流れが活発になっています。また、コロナ禍もあり、これまでのような販促キャンペーンが打ちにくくなっている現在、SNSなどで「独り歩き」してくれるネーミングへのニーズが高まっています。本稿では、ネーミングの基本から、ニューノーマル時代ならではの考え方まで、事例を交えてご紹介します。
ネーミング開発の基本要素
特徴、コンセプト、機能、ベネフィット、ターゲット、販売チャネル、価格帯などからネーミングの切り口(方向性)を複数設定していきます。
その後、切り口に沿って発想を広げてから表現(ネーミングのテイスト、言語・文字、響き・イメージなど)を絞り込んでいくのですが、特に最近は、販売チャネル(実店舗か、ECか)、ターゲット(年代、性別/近年は同年代の中でもさらに細分化傾向)が重要になっています。
1.デジタル化で増加する、3〜4文字のネーミング
言いやすく、覚えやすいのが3〜4文字(音)の表現です。特に昨今は、検索エンジンやSNSから商品ページへ誘導するための「検索ワード」や「ハッシュタグ」が考慮されるため、この傾向が顕著です。
スマホアプリやオンライン系のサービスは、「食べログ」「メルカリ」「さとふる」のように4文字のものが多く、流行りのD2Cコスメブランドに至っては、「マナラ(MANARA)」、「ミクス(mixx)」、「シロ(SHIRO)」のように、3文字以内に抑える傾向すら見られます。
正式名称が4文字を超える場合は、略称を4文字以内にするという手段もあります。「アメブロ(Ameba Blog)」「ポケモン(ポケットモンスター)」などがその例です。「ヤフオク!(旧・Yahoo!オークション)」のように、後から略称を公式名称化したケースもあります。
現実的には、3文字は商標権やドメイン取得の難易度が非常に高いため、比較的商標権が取りやすく、愛称的に呼びやすい4文字が主流です。
また...