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ヒットの仕掛け人に聞く

アサヒビール「マルエフ」懐かしいけど新しい、話したくなるブランドストーリー

アサヒ生ビール

1986年誕生の「アサヒ生ビール」。家庭向け缶商品の販売は93年に終了したが、飲食店での取り扱いは続いていた。2021年9月、「マルエフ」の通称通り、不死鳥の如く缶商品が復活すると3日で一時休売になるほどの人気商品となった。

    DATA

  • 商品名:アサヒ生ビール(通称マルエフ)
  • 実勢価格:350ml/219円前後、500ml/286円前後(税込)
  • 主な販路:全国の酒類販売店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなど

新規開発ではなく「復活」

──新商品の開発ではなく既存商品を復活させることとなった経緯は。

酒税の改正もあり、ビールカテゴリーは伸びると考えています。そこで「アサヒスーパードライ」と並ぶ柱をもう一本立てたいという思いがありました。

開発企画を検討する過程で市場動向やお客さまの意見を聞いてみると、「競争から共生へ」という言葉もあり、世の中が優しい方へ向かっているように感じました。また、コロナ禍で人と人とのリアルなつながりが薄れ、不要不急を避けるべきという風潮もあります。こうした社会に向けて、つながりやぬくもりを感じられるビールブランドを立ち上げたいと考えました。

加えて、新商品にこだわらなくてもいいのではないかと考え、様々な選択肢を模索してたどり着いたのが「アサヒ生ビール」通称マルエフです。

マルエフは一般向けの缶の販売は終了していましたが、飲食店での樽生の取り扱いは継続し、社内でも大切にされている商品でした。扱われる飲食店もこだわりのお店が中心で、一部のコアなファンに愛されてきたという歴史がありました。こうしたブランドのストーリーが今回のコンセプトに合致していると判断し、マルエフを復活させることになりました。

──復活にあたって何か変えたことはありますか。

長く愛していただいているファンもいるので、味に関しては変えていません。コンセプトを再定義したことにより、パッケージデザインと、訴求内容を変えています。

1986年当時は「コクがあってキレがある」と味覚を表現していましたが「キレ」はスーパードライの特徴と重なります。また、長く扱っていただいている飲食店の方の話を聞いていると、やわらかい口当たりやマイルドさがポイントになっていました。「コクキレ」ではなく「まろやか」いう表現を使えば、今回のコンセプトに合いますし、スーパードライとの違いを伝えることができると考えました。

復活
1986年に発売した「アサヒ生ビール」。「アサヒスーパードライ」の登場により一般向けの缶、瓶は販売終了したが飲食店向けの樽は継続して販売され、ファンの支持を集めていた。復活にあたり、ブランドパーパスやコンセプトを再定義。パッケージデザインは懐かしさと新鮮さを両立させたものが採用され、マルエフの通称の由来でもある幸運の不死鳥(フォーチュン フェニックス)のアイコンがつけられている。ブランドパーパスは「日本に、ぬくもりを。」であり、スーパードライの「気持ち高まる瞬間を分かち合う。」とは対極的。2022年2月には「アサヒ生ビール黒生」も発売した。

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