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インフルエンサーの「売る」力

ライブ配信における企画・制作・配信のポイント

高村 馨氏(LIVERBANK)

生活者とのオンラインコミュニケーションの手段として「ライブ配信」を活用するケースが増えています。どのような点に留意し、企業は「ライブ配信」に取り組めばよいのか。企画・制作・配信のポイントをLIVERBANKの高村馨氏が解説する。

2019年から世界で流行し、未だに感染収束に至っていないCOVID-19の影響により生活者の生活様式は一変しました。仕事でリモートワークが加速し、今では多くの企業で定着しつつあります。消費活動もスーパーなどで購入する日用品以外はECサイトでの購入が増加し、多くの点で我々の生活に影響を与えています。

生活様式の変化により企業の生活者とのコミュニケーションも多様化しました。特にオンラインでのコミュニケーション手段として「ライブ配信」は多くの企業が実践しており、今後も企業の生活者とのコミュニケーション手段の一端を担うと想定されます。

成長とともに身近になりつつある「ライブ配信」

通信速度5Gの運用開始とともに急速に成長を遂げているライブ配信市場。市場規模はYouTuber市場以上になると予想されており、この傾向は今後も加速すると想定される(図1)。もちろん、こちらの図で示す市場はライブ配信アプリなどを含めた市場規模の成長予想ではあるが、ライブ配信というもの自体が生活者に身近になりつつあることは変わりないと捉えるべきだ。

図1 ライブ配信市場規模について
※17mediaの上場目録見書/CA Young Lab/デジタルインファクト調べ

すでにライブ配信アプリでも企業がスポンサーとなり、ライブ配信を通してPR活動を行うこともここ数年で増加している。ライブ配信は企業、生活者にとってもより身近な存在となっている。

双方向コミュニケーションとしての「ライブ配信」

近年の生活者の情報入手経路について(図2)見てもらうと、テレビより携帯電話/スマートフォンから情報を得る生活者の数は年々上昇しています。この背景にはInstagram、YouTubeなどをはじめとしたSNSの出現により生活者の情報入手経路がテレビからSNSに移行したことがわかります。またこの傾向は今後も加速すると思われます。つまり、情報を発信する場所の主戦場がテレビではなく、SNSに移行したと捉え、企業の発信する情報もSNSを起点に広めるということが求められています。

図2 メディアとの総接触時間
※メディア総接触時間は、各メディアの接触時間の合計値 各メディアの接触時間は不明を除く有効回答から算出
※2014より「パソコンからのインターネット」を「パソコン」に、「携帯電話(スマートフォン含む)からのインターネット」を「携帯電話・スマートフォン」に表記を変更
※タブレット端末は、2014年より調査

一方でSNSにおいても企業によるPR活用が増え、SNSを利用するユーザーも情報のリテラシーが向上しています。そのため、これまでの「#PR」のような投稿だけでは生活者から情報がスルーされ、企業が本当に伝えたい情報を生活者が受け取ってくれないという現象が発生しています。

これはデジタルネイティブの世代になればなるほどその傾向が見受けられます。そのため、企業はこれまでのSNSの活用法を見直し、新たな取り組みを行う必要が出てきています。その際に活用すべき手段がオンラインコミュニケーションとしての「ライブ配信」になります。

「ライブ配信」とは、企業が伝えたいメッセージを一方的に伝える手段ではなく、あくまで企業と生活者による双方向のコミュニケーションです。多くの企業ではコロナ禍前まではオフラインのイベントなどで生活者との交流が多分にあったと思いますが、ここ数年はコロナ流行による感染症対策や人数制限などでオフライン施策は制限されています。このオフラインのイベントがオンラインのライブ配信に置き換わったと捉えると最もイメージしやすいかと思います。

つまり、ライブ配信は一種のイベントであり、生活者が楽しむコンテンツでなくてはなりません。

ライブ配信の全体図

ライブ配信も、ただ配信をすればいいというものではなく、これまでの生活者とのコミュニケーションをベースに作り上げていくことが重要になります。その際、「ライブ配信前」「ライブ配信中」「ライブ配信後」と3つのフェーズに分けて考える必要があります(図3)

図3 ライブ配信全体図

ライブ配信前では企業と生活者の共通のテーマを見出し、企画制作を行っていく必要があります。ライブ配信を実際に行ったことのあるご担当者はわかると思いますが、テレビと違いライブ配信は双方向のコミュニケーションであるため、視聴者から「ためにならない」と思われた時点でライブから離脱される可能性が非常に高い施策になります。そのため、ライブ配信では必ず面白い、もしくはお得感のあるコンテンツに仕上げていく必要があります。

例えば...

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