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インフルエンサーの「売る」力

SNSとECが融合する時代 インフルエンサーをどう活用する?

青柳優子氏(C Channel)

若年層を中心に消費行動に大きな影響をあたえるインフルエンサー。まずはインフルエンサーの特徴と何故有効なプロモーション手段になるのかについて見ていきたい。それぞれのポイントについて、C Channelの青柳優子氏が解説する。

一昨年からの新型コロナウイルスの感染拡大にともない、Instagram、Twitter、YouTubeなどをはじめとするSNS閲覧時間の増加、およびオンラインショッピングの利用増加が顕著になり、企業にとってデジタルマーケティング、とりわけSNSマーケティングの重要性はますます高まっています。なかでも「インフルエンサー」と呼ばれる人々によるプロモーションは年々インパクトを増し、業種や業態を問わず、企業のプロモーション活動の一環として取り入れられています。

「インフルエンサー」とは

そもそも「インフルエンサー」とは、広義でいうと「Influenceする人=世間に対し影響を及ぼす人」のことです。特にSNSマーケティングにおいては「情報発信により認知拡大、購買喚起を促進させるなどの影響力を持つ人」を意味し、消費者の間でも浸透しつつある言葉です。インフルエンサーは彼らを支持するフォロワーとの間にファンコミュニティを形成しており、近い趣味や嗜好をともにするインフルエンサーとフォロワー、およびフォロワー同士がつながり、情報交換しあうきっかけを作り出しています。

インフルエンサーは、彼らが抱えるフォロワーの数によって「メガインフルエンサー」(フォロワー100万人以上)、「ミドルインフルエンサー」(フォロワー10万人以上〜100万人以下)、「マイクロ・ナノインフルエンサー」(フォロワー数千〜10万人以下)というように定義されることもあります。

例えば、メガインフルエンサーはいわば芸能人に近い情報リーチ力の高さを武器にした認知施策、マイクロ・ナノインフルエンサーはフォロワーとの距離の近さや関係性の強さを活かしたファンマーケティング施策といったように、マーケティング目的に合わせたインフルエンサー起用を行うことで、プロモーション効果の最大化が可能になります。

消費者の意識変化とインフルエンサー

インフルエンサーが注目されるようになった背景として、消費者の意識変化があります。SNSプロモーションが活発化するなか、企業や著名人によるステルスマーケティング(ステマ)が問題視されたのをきっかけに、明らかに不自然で「広告っぽい」口コミは消費者から忌避され、より広告感の薄い自然な口コミが好まれる傾向になりました。そのような風潮のなかで、「忖度しない」存在としてのインフルエンサーが支持を集めるようになったのです。

インフルエンサーは自らのブランディングを確立した存在であり、フォロワーとの信頼関係を第一に考えて情報発信をしています。ゆえに、企業のメッセージを広報するのではなく、自らのフィルターを通してフォロワーのために伝えることが重要と考えており、フォロワーへの嘘や裏切り、信頼を失うような行為を嫌うのです。

昨今ではインフルエンサーの数自体が増加し、ますますカテゴリの細分化が進むなかで、消費者がより自らの嗜好に近いマイクロ・ナノインフルエンサーを選び、支持する動きも出てきています。

マイクロ・ナノインフルエンサーは、ファンコミュニティの規模こそそれほど大きくはないものの、近い属性を持つフォロワーとのつながりの強さ=「エンゲージメント」の多さが特徴です。インフルエンサーの投稿に対してフォロワーがいいね!をする、あるいはインフルエンサーからフォロワーに対してコメントを返信するといったエンゲージメントの多さは、フォロワーのロイヤリティの高さを表しています。

例えば、前述したようなインフルエンサーの「忖度しない」姿勢も手伝い、視聴者の意思とは関係なく閲覧されることの多い旧来の広告と比べ、インフルエンサーが発信する情報の方が、より閲覧時間が長くなるという傾向があります。フォロワーが自らの意思で、フォローや再生ボタンのタップといったアクションを起こして接触している=インフルエンサーの発信する情報に興味を持っているためです。マイクロ・ナノインフルエンサーが注目を浴びている理由は、このフォロワーとのつながりの強さにあるといえるでしょう。

加えて、消費者のプライバシー保護の観点からCookie規制の動きが活発化していることも、マイクロ・ナノインフルエンサーのような、ニッチ化されたファンコミュニティへの訴求という流れを後押ししています。リターゲティング広告に代表される、消費者の行動を基にした追跡型の広告が...

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