SNSに限らず販促施策で話題になる事例は多々挙げられる。しかし一方で、定量化できていなかったり、単発的なものに留まったり、話題になるだけで売上につながらなかったりすることもまた多いのではないだろうか。“当たるも八卦当たらぬも八卦”の状態から脱するヒントをプリズマティクスの濱野幸介氏が語る。
SNSで話題となり、購買に大きな影響を与える事例は過去にも多く存在した。例えば、無印良品において恵方巻きとバウムを絡めたTwitterのツイートは1日で5,000フォロワーを増やし、ストロベリーチョコがけいちごのInstagram上での投稿は店頭での売り切れを起こすほどの波及効果をもたらした。
エンゲージメントを整理し顧客体験を設計する
SNSに限らず、TVへの露出や、チラシ、OOH広告、会員向けキャンペーン、ポイントなどの販促施策で話題になる事例は多々挙げられる。しかし一方で、それらが誰に/いつ/どれくらい話題になったのか定量化できていなかったり、単発的なものに留まったり、エリアや顧客が限定されて局所的な効果しか生まなかったり、話題になるだけで売上につながらなかったりすることもまた多いのではないだろうか。
様々な施策を実施はしたが“当たるも八卦当たらぬも八卦”の状態から脱するためにも、施策が仮説検証でき、継続的かつ全体的に売上につながる効果を生むよう、顧客との関係性=エンゲージメントを整理し、俯瞰的な視点で顧客体験設計をしておきたい。
具体例として、サンリオで2020年7月より開始した「Sanrio+」を紹介したい。Sanrio+は、お買い物や各種サービス利用で「スマイル(ポイント)」を貯めたり、ギフトに交換したりすることができる会員アプリであり、2022年1月末時点で会員数が100万人を超えるまでに成長している。
このサービスは2018年春に企画しているが、その際の最初の一枚は、どういう接点でどう顧客とコミュニケーションし、会員となった方にどう継続的に接触し、店頭やオンラインショップに足を運んでもらうようにするか、改めて俯瞰的にエンゲージメントの整理をしたものだった。この一枚によって、スマイルを中心にして顧客体験を統合していけること、購入だけではなく応募・予約といった接点を活用できることが、関係者で容易に共有できるようになった。
Sanrio+リリース後、コロナ禍中ではあったが、BLACK FRIDAYを...