販促に活かすために持っておくべき「メディア活用」の大局観
販促に活かせるメディアは多岐にわたり、網羅的に把握できている人は多くない。そこで本稿では、販促領域を担当している人に向けて、マーケティングにおけるメディア活用について整理していく。
販促活動は、ただ情報を発信するメディアを選ぶだけで終わりではなく、それをどう伝えるのかといったクリエイティブまで考える必要がある。適切なクリエイティブの考え方とは何か。
DM、新聞折込、交通・屋外広告、店頭POP・サイネージ、ネット広告など、さまざまな販促メディアが存在していますが、メディアごとの特性や役割を正しく理解し、最適なクリエイティブの使い分けができているケースは残念ながらあまり多くありません。
メディア掲出をすること自体がゴールになってしまっていたり、インセンティブありきの設計になっていたり。今この記事を読んでいらっしゃる読者の方の中にも「ドキッ」とした方は少なくないのではないでしょうか。
本記事では、生活者の各メディアへの接触時間、頻度、そして接触から購買までの距離という3点から特性を比較し、それらの特性を踏まえた「人を動かす」クリエイティブの考え方について解説していきます。
本来的には役割の違う2つのメディアですが、今回の3つの観点から見た場合、比較的特性が近いため、本記事では一つにまとめて考えます。本メディアの一番の特性は「現物が手元に残ること」だと思います。そのため、うまく機能させることができれば、比較的長時間、そして何度も接触させることが可能なメディアになります。また接触から購買までの距離が遠いのもポイントです。
これらの特性を踏まえると、DMや新聞折込のクリエイティブとして最適な形は「長持ちする」クリエイティブというキーワードが見えてきます。デザインなどのクオリティを高め、捨てにくいものにする。また、距離の遠さや手元に残ることを利用して、クーポンなどインセンティブをつけることでお店まで持っていけるものにする、というアイデアもあるでしょう。
つい、金額やスペックなどの情報を詰め込んだ「すぐに消費される」広告をつくってしまいがちですが、上記観点を踏まえた「逆張り」のクリエイティブをつくることで、他社との差別化も図ることができるかもしれません。
生活者にとって、日常の生活(自宅)から購買(店舗)の間に位置する交通・屋外広告は、今回あげた販促メディアの中では最もマス広告に近い効果を得られる媒体かと思います。そのため、クリエイティブとしては「インパクト」や「驚き」を与えることが最も重要です。生活者の「記憶に残る」クリエイティブを展開し、その商品やブランドを生活者の心に植え付けることで、購買の後押しをすることが可能となります。
ただし、コロナ禍で生活者の外出機会が減っていることもあり、交通・屋外広告自体への接触頻度が減っていることには留意しておいたほうがよいかもしれません。
一方で、たまの外出で接触した際の効果はこれまで以上に...