既存顧客の来店を活発化するために、自社アプリを開発した、博多発祥のラーメン専門店「一風堂」。その登録を促進するために、飲食店としてはめずらしいDMを活用した。紙のメディアを活用したその背景や成果について話を聞いた。
アプリ開発でリピート促進
──一風堂では2019年より公式アプリを導入されています。その経緯をお伺いできますでしょうか。
もともと、一風堂では紙のスタンプカードを配布していました。食事回数によって、バリ/バリバリ/バリスゴ/プレミアムメンバーのようにランクアップするような制度です。
バリスゴ会員さまのスタンプが貯まるとハガキをお渡しし、送付いただいたお客さまに特製どんぶりなどをプレゼントしていましたが、2017年に終了。そこから、お客さまとつながるツールとして全店でLINEなどを活用し始めました。ですが、デジタルの活用を行っていく中で、従来のスタンプカード機能もデジタル化して実施できないかという声が社内であがり、独自にアプリを立ち上げることとなりました。
そして、バリバリ、バリスゴなどの一風堂らしいネーミングは継承して、ランクアップ制を復活。店舗ごとにランキングが出たり、来店を楽しんでいただける内容を充実させています。他に、クーポン、お知らせ機能もあり、お客さまに直接通知をすることもできるようになりました。
──顧客とつながる重要な基盤ができたのですね。その告知は、どのように行ったのでしょうか。
先ほどのスタンプカードによるプレゼント応募で住所データなどを保有していましたので、昔からご愛顧いただいているお客さまに登録促進のDMを送付しました。
当社創業者の河原が、創業33周年の際にお客さまに恩返ししたいという思いから封書を送ったことが、この施策をするうえでの土台となりました。2018年、スタンプカードのプレミアムメンバーの皆さまに、感謝の気持ちを込めた特典が入った封書をお送りしたのです。その際の反応がよく、コミュニケーション手段として活用できると感じ、今回のDM送付に至りました。