屋外にあるメディアであるOOH。コロナ禍による変化がありつつも、移動者を捉える効果は有効だ。どのような考えで活用すべきかを筆者が解説する。
OOHとはOut Of Home、つまり屋外にあるメディアの総称のこと。交通・屋外メディアはもちろん、フリーペーパーやチラシなども広義にはOOHとされ、日常生活に密着していることから認知から購入までのあらゆるファネルに影響を与えられるメディアです。そのためカスタマージャーニーの様々な段階で使われ、他のメディアと連携して“点”のコミュニケーションを“線”へと変えられるメディアでもあります。
日本の代表的なOOHとしては交通メディアが挙げられます。ジェイアール東日本企画(以下jeki)では今年6月に野村総合研究所と行った交通広告に関する共同研究の結果をリリースしました。コロナ禍のデータを分析した同研究により、jekiでは交通メディアを“バリューリーチメディア”と定義。
若者や有職者、イノベーティブな消費者などのマーケティング価値の高い人たちにスクリーニングされたボリューム層(ポテンシャル・マス)に、強制的でなく自主的に広告を視認させられるOOHは、広告がスキップされブロックされる時代に“価値あるリーチ”を生み出せるメディアだと結論付けました。特にデジタルネイティブといわれる若年世代に自然にリーチさせられる点は交通広告の大きな魅力といえます(図1)。
OOHの販促活用
さて本題の“販促メディアとしてのOOH”にフォーカスします。販促文脈でOOHを語る際のキーワードに「リーセンシー(効果)」があります。これは商品購入に近い消費者ほど広告は有効に機能するという仮説のもと、商品購入に物理的・心理的に近い生活者に広告に触れさせて購買行動に直接的な影響を与えようという考え方です。
その背景には特にFMCG(日用消費財)におけるブランド選択の大半が店頭で行われていることがあります。ブランド選択が直前ならば広告もなるべく直前に当てるべきだ、というのがリーセンシーの根幹にあり、それを実現する手段としてOOHは期待されています。さらに付け加えると、当社の調べでは生活者の買い物行動の3分の1が移動中に決めていることがわかっています。これは買い物が移動中に衝動的かつ派生的に生まれることを意味し、OOHが買い物そのものを...