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「販促メディア」を使いこなす!

進化する、買い物に役立つ店頭デジタルサイネージ

向坂文宏氏(桜美林大学)

店頭で来店客に様々な訴求ができるデジタルサイネージ。非接触が求められる昨今、その役割は重要性を増している。店頭のメディア、テクノロジーにとって必要な視点を筆者が解説する。

かつては特別な商材であったデジタルサイネージだが、今では店頭の主要メディアの一つとして、至るところで見かけることができる。商業施設の入り口の案内表示、商品横での特徴訴求、スーパーマーケットでのレシピ動画、アパレルショップなどでのバーチャルフィッティングなど、その活用方法は情報発信だけにとどまらず、インタラクティブなメディアとして様々な買い物の場で役立てられている。

店頭で活用される背景

現在のデジタルサイネージの活用シーンを、日本プロモーショナル・マーケティング協会の提唱する購買行動モデルである「RsEsPs(レップス)モデル」注1に当てはめてみると、図1のように整理される。改めてデジタルサイネージがリアル店舗での購買行動に密着したメディアとなったことがわかる。

注1 RsEsPs(レップス)モデル/日本プロモーショナル・マーケティング協会が提唱する購買行動指標。購買行動プロセスを「認識」「体験」「購買」という3つのフェーズに整理し、各フェーズごとにSNSを介した「検索・共有・拡散」の行為が発生していることを構造化している。

図1 購買行動プロセスと、デジタルサイネージの活用シーン

ここまで活用の場が広がった要因としては、機材の低価格化により採用されやすくなったことや、店頭での電源確保が容易になり使用するための環境面も整備されたことなどが挙げられる。また、映像表現が身近なものとなりコンテンツを用意するハードルが低くなったことも大きい。最近では、コロナ禍という特殊な状況がデジタルサイネージの可能性をさらに広げており、新しい使われ方を目にする機会も増えてきた。

例えば、人が直接触れ合う接客を避けなければならないことが、新たな試みを生み出している。「カウンセリング機能付きサイネージ什器」などは、その最たるものだろう。デジタルサイネージを通した買い物客とのコミュニケーション施策を実現したことで、人を介さない接客を行っている。また、化粧品や衣料品、メガネ、カラーコンタクトレンズなど、身に付けてみなくては自分に合うかどうかわからない商品などは、商品に触れずに試用、試着イメージが確認できるARを使用したシミュレーションサービスが広まった。

ARを使用したシミュレーションは、スマホやPCを通して自宅でも行えるため、ネット通販でも商品体験が行える手法として活用されており、オンラインとオフラインとの融合を進める結果にもなっている。

さらに、不要不急の外出の自粛生活の中で店頭から販売員も姿を減らし、人手不足の売り場などが出てきた。そんな売り場へ登場したのが遠隔接客である。買い物客は...

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