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売上を伸ばすための基礎知識 販促の基本

企画から実施後のフォローまで 効果を最大化させるイベント設計

歌代 悟、中島健希、中田廉太郎(博展)

コロナ禍を受けイベントのオンライン化が進んでいるが、重要なのは手法ではなく、目的に沿った顧客体験の設計だという。イベント効果最大化のための方法を手順に沿って解説する。

新型コロナウイルスの流行後、企業のマーケティングは2段階で進行しています。第1段階はイベントなどの顧客接点機会におけるオンライン化、第2段階は、バーチャルコンテンツの普及です。両者とも、今までリアルで行っていたコンテンツをオンラインに移行したものであり、すでに一般化してきているように見えます。

顧客体験提供のキーワード

こうした変化は多種多様な広がりを見せ、体験型マーケティングはオンラインとオフラインの連携へと変化を遂げました。リアルの体験を活かした上で、オンラインと融合させ、どう効果を最大化していくか。我々博展は顧客体験の軸となる次の3つのキーワードを掲げています(図1)

図1 3つのキーワードを軸に体験価値を設計する

■モーメント

イベントにおいて、オフライン/オンラインにかかわらず、時系列に沿ってどのような意味を持たせるか。各ステップでどのように参加者のモチベーションを最大化させるか。

■コミュニケーション

イベント/非日常の体験を活かしてどのようにターゲットとコミュニケーションを図っていくのか。

■コンテンツ

オフライン/オンラインの特性を活かしつつ、臨場感があり、型にはまらない魅力的なコンテンツか。

オンライン/オフラインを組み合わせたハイブリッド型コミュニケーションデザインに、この3つのキーワードをどのように落とし込むかが重要になっているといえます。

オフラインでやるべき明確な理由は体験の「深さ」です。五感で得られる体験は、オンラインでは代替できません。一方で、オンライン特有の伝達の「広さ」は、距離や時間の制限を超えて、オフラインでは届かなかったターゲットへのアクセスを可能にしました。これらの特徴は相互に代替不可能なため、オフラインでやるかオンラインでやるかといった方法論から入るのではなく、目的とターゲットに合わせて、両者を複合的に体験の中に落とし込んでいくことが重要です(図2)

図2 オフライン(フィジカル)とオンライン(デジタル)の違い

触って初めて理解できる商品や、高価格帯の商品のイベントはオフラインで開催するメリットが大きく、情報系商品はオンラインでの開催に適しています。ただし、BtoBイベントにおいては集客が課題となることが多いため、特にオンラインで開催する際は集客方法を熟慮する必要があります。

イベント企画のポイント

それではここから「イベント=体験型マーケティング」の設計において、「BtoB/BtoCイベント共通の企画ポイント」と、「BtoBイベント/BtoCイベントそれぞれの押さえるべきポイント」についてご説明します。

①ブランドの“らしさ”再確認

イベント企画の前に、まずは自社や商品のブランドが持つ世界観が定義されている必要があります。昨今、ロゴやビジュアルなどの視覚的なアイデンティティだけでなく、発信するメッセージやその方法、提供する体験、取り組み、スタッフの所作といったすべての要素がブランドの“らしさ”として認識されます。

例えば、サステナブルな商品のプロモーションイベントにおいて、配布物にプラスチック容器が使われていたとしたら、参加者はどう感じるでしょうか。ブランドとしての一貫性のなさに信頼を失うことすらあり得るでしょう。

これから開催しようとしているイベントの趣旨や方法とその“らしさ”の整合性を取るためにも、改めて“らしさ”を認識し、企画を進めていくなかで常に世界観から外れていないか、矛盾がないかをチェックします。

②ターゲット・目的・目標の設計

イベントを通して、誰に【ターゲット】(例:新規or既存/多数or少数/特定or不特定/決裁権の有無/年齢・性別など)、どうなって欲しいのか【目的】(例:認知/ファン化/情報訴求/接点獲得/リレーション深耕/商談/購買など)。それが実現した状態とはどういう状態か【目標】(例:受注○円、アポ獲得○件、満足度○%、店舗誘因○件など)を設計します。これによってイベントをオンライン/オフライン/ハイブリッドのどの手法でどのように行うべきなのかが変わります。

特に目標設計が曖昧だと、イベントが一過性のお祭りで終わり、施策に対する成果や今後の打ち手の判断が難しくなります。さらに、例えば「名刺獲得○枚」といった目標を掲げる際は、イベント後にその獲得した名刺をどう活用し、どうビジネスにつなげていくのかといった次へのアクションを具体的に設計する必要があります。

また、かつてはオフラインイベントにおいては参加者数や販売数といった定量的な目標設計が主となっていましたが、コロナの影響による参加母数の制限や、前述のオンライン/オフラインイベントの役割や価値の違いにより、オフラインイベントにおいてはリアルだからこその体験の質を測るための独自の定性目標を設計し、定量・定性の両面からイベントの成果を分析することがトレンドとなってきています。

③イベント企画・設計(事前の接点開発/本番/事後のコミュニケーション)

①と②が描けてようやく具体的なイベントの企画・設計となります。ここで最も重要なのが、イベント本番だけでなく「事前」と「事後」を含め時間軸を捉えた体験設計をすることです。

●事前の接点開発
イベント成功のために特に慎重に設計すべきは集客です。目的やターゲット、認知度、ブランドの集客ポテンシャルに応じて、集客方法も異なりますが、そもそもプライベートイベントを行うべきか、あるいは合同イベントのようにあらかじめ集客が見込まれたものに参加すべきかの判断も変化します。

一般的な集客手法は以下の通りです。

オフラインの集客手法
DM/ポスティング/紙媒体広告/屋外広告/テレビ広告/訪問/架電など

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