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売上を伸ばすための基礎知識 販促の基本

「パッと見」で「買いたい」をつくる パッケージデザインの基本

宮本文幸(桜美林大学)

「パケ買い」という言葉を聞くようになって久しい昨今。商品の機能や価格だけではなく「見た目」も購買の判断軸と考えると、商品パッケージはまず「手に取ってもらう」ための入口とも言えるだろう。“パッと見”で購買意欲を促進させるためには何を意識すればよいのか、基本に立ち返る。

皆さんは、商品の見た目、つまり「パッケージ」から商品を購入したことはありますか?「パケ買い」という言葉からもわかる通り、パッケージには消費者の注意を引き付け、商品を手に取らせ、商品説明を読ませるなどの購買につながる行動を促進する効果があります。そう考えると、商品パッケージのデザインは立派なプロモーション手法とも言えるのではないでしょうか。

本稿では、ただ商品を包装するためのパッケージではなく、消費者の「買いたい」をつくるためのパッケージに注目し、その本質に迫ります。

「買いたい」と思わせるパッケージの販促効果

パッケージは店頭など直接の購買接点で消費者と接するもの。「マーケティングの最後の5秒(ケラー)」、「無言のセールスマン(チェスキン)」と言われるように、「買うか買わないか」その決断のシーンに対面する重要なマーケティング・ツールと言えます。

パッケージひとつで商品を手に取らせ、内容表示を読ませる。その過程で「試してみたい」「誰かに話したい」「買ってみようか」という気持ちにまで誘導していく力を秘めています。さらにはそのパッケージのビジュアルから口コミが拡散され、社会現象にまで至るケースも少なくありません。パッケージの販促ポテンシャルには計り知れないものがあるのです。

パッケージの工夫で大ヒットした商品事例

図1 パッケージによるヒット商品とそのモチーフ
出典/『ゼロ・プロモーション・マーケティング』
上が商品名、商品の下にはそのイメージ・モチーフが記載されている。

パッケージによるヒット商品を図1に挙げてみました。特に歴史的・世界的に有名なのは「L’eggs(レッグス)」。これは卵形のパッケージに入った女性用のストッキングです。

レッグスという商品名はleg(脚)とegg(卵)を融合して名付けられました。1960年代のアメリカで、一部のスーパーマーケットで試験的に販売したところ売れ行きがよく、その評判が拡散されました。ついにはアメリカ全体のストッキングシェアの40%を占めるに至った商品です。

その他、著者が企画に携わった殺菌デオドラントの「Ag+」(現在はエージーデオ24)や、フェースライン用美容液「LOSTALOT」なども、レッグスよりは小規模ですが類似の売れ方をしています。食品では「ねこねこ食パン」、飲料では「伊右衛門」、スキンケアでは「ザ・タイムR アクア」などが挙げられます。

これらには店頭に置いただけで口コミが広がりヒットする、という共通の現象が見られます。店頭の消費者には次のような心理変化や行動が起きています。

商品をひと目見ただけで釘付けになる

気になって思わず商品を手に取る

商品説明を熟読し、納得する

実際にその商品を試してみたくなる

思わず試用、または購買する

誰かにその商品のことを話したくなる

口コミが拡大し、ヒットする

ヒットするポイントは「イメージ・モチーフ」

これらの商品パッケージに共通する要素は、イメージ・モチーフにあります。イメージ・モチーフとは、「商品のつくり手が設定する、商品コンセプトを表現する際の象徴的なビジュアルとその具体的なテーマ」です。そのモチーフが、全体の外観デザインと商品属性情報(表示)に反映され、商品パッケージが出来上がります。図1のカッコ内がそれぞれの商品のイメージ・モチーフです。

ヒット商品におけるこれらのイメージ・モチーフは、共通して商品コンセプトや商品名、中身設計、デザインなどの要素と関連性を持ってつながっています。このことがさまざまな消費者心理を高め、試用や購買行動へと誘引するのです(図2)。

図2 「Ag+」のイメージ・モチーフの構造と効果
出典/『ゼロ・プロモーション・マーケティング』
銀イオンを配合した「Ag+」は銀イオンをイメージ・モチーフとし、コンセプト・商品名・パッケージデザインを設計した。その結果、店頭で目立つビジュアルが消費者の注意や興味を引き、話題化。検索数が増え、使った人の口コミが拡散され、パッケージのインパクトから記憶にも残りやすい商品となった。

私たちの脳内では自分で意識して考えている“顕在意識”と知らないうちに脳が勝手に考えている“潜在意識”が働いています。この潜在意識は脳の働きの95~97%を占めるとされ、消費者が前述のような心理変化や行動を起こす要因の多くは、この潜在意識によるものと言えます。

では、このイメージ・モチーフはどのようにして潜在意識に働きかけるのでしょうか。例えばレッグスでは、ストッキングという製品カテゴリーとイメージ・モチーフの卵とは本来、何の関係のないものですが、それらが商品として一体となっていることがポイントです。これを見た瞬間に消費者の心には言葉にならない疑問や違和感が浮かび、それを解消するために思わず手に取って表示を読まないではいられなくなるのです。

レッグスはストッキングと関係がなさそうな卵というイメージ・モチーフが用いられていますが、何でもよいわけではありません。まずは、その商品カテゴリーとのある程度のイメージのギャップが必要です。そのギャップが消費者の注意を引き付けることにつながります。

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