嗜好性が多様化する時代 消費者の価格評価のメカニズム
消費者が感じる「値ごろ感」とは何か。その理解を深めるには、「価格評価」の理解が必要だ。販売にどのように活かせるのか、筆者が解説する。
現代消費者の「値ごろ感」を捉える
池部楽器店は3月13日、初の旗艦店となる「イケシブ(IKEBE SHIBUYA)」を東京都渋谷区にオープン。“音楽・楽器の次世代型ストア”はどのような思いから生まれたのか。
イケシブは楽器専門店が一堂に会した総合旗艦店です。同時に、エンターテインメント・カルチャーの発信基地としての側面も持つ、“音楽・楽器の次世代型ストア”といえます。脱楽器店を掲げて、誰もが気軽に立ち寄れて心地よく過ごせる場所でありたいという思いから、店舗空間そのものをエンターテインメントにこだわって設計しました。
もともとコロナ禍前から移転の計画はありましが、アフターコロナでリアル店舗の価値が問われるようになりました。従来の楽器店は多くの商品を置いてあることが価値でしたが、そうではなくて楽しい体験ができる場を目指しました。
また、楽器店は常連ばかりだったり、専門性が高いスタッフがいたりして、入りづらいと感じる設計になっていました。それをもっと気軽に立ち寄れるボーダーレスな設計にしようと、従来の楽器店にはなかったイベントスペースを設置したり、イラストを展示したり、今後はアパレル商品も展開しようとしています。敷居の高いイメージのあった楽器店とお客さまの間にあった境界をなくしていきます。
はい、各種イベントやネット配信ライブなど多用途に使える「イケシブ ライヴス」や、動画コンテンツの配信やライブコマースの拠点となる「イケシブ スタジオ」、楽器を持った自分を雑誌の表紙風に撮影できるデジタルサイネージ、プロミュージシャンの楽器を飾るショーケースなど、情報の発信源になる場所を設置しています。
また、音楽だけではなく、次世代クリエイターを応援する活動で設置した「イケシブアートウォール」も目玉です。これは屋外の格子外構の一部スペース(1.5×8m)にクリエイターの作品を一定期間掲出する取り組みです。初回はYOASOBI「夜に駆ける」のミュージックビデオも手がけた話題のアーティスト 藍にいなさんによるイラスト作品を掲出しています。
その他にも、新しいサービスや取り組みをどんどん進めていく予定です。イケシブは、これまでの楽器店の...