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現代消費者の「値ごろ感」を捉える

コスパを理解して人を動かす 行動デザインで捉える現代の消費

國田圭作(嘉悦大学)

コストパフォーマンスを意識して行われる消費。行動デザインの観点から、どのように販促活動に活かしていけばいいのか、筆者が解説する。

行動デザインとは、一言でいえば「デザインの力で、人々の行動(選択)を、企業・社会にとって望ましい方向に向ける環境設計」のことです。筆者が特に注目しているのが「選択アーキテクチャー」です。人がある文脈の中でどのような選択をするかは、実はその人の周りにある環境の構造(=アーキテクチャー)に規定されているのです。

例えば、行動の様々な障壁、物理的なものだけでなく金銭的、時間的、心理的コストなども、環境がつくり出す構造の一種です。そのため、構造を少しだけ変更することで人の行動を変えられる場合があります。最近では、ソーシャルディスタンス確保のために床にラインを引く、お店の出入り口を塞ぐように消毒アルコールを設置する、などの構造変更が効果を上げています。

不可逆なメガトレンド「コスパ」

コロナ禍で外食や観光などの産業が大きな打撃を受けていますが、これらは「手持ち資源の投資規模が相対的に大きい行動」なので、人間本来の消極的な本質(なるべくコストをかけずリスクを避ける)からはむしろ例外的な消費といえます。

私の大学には、「前からインドア・ゲーム派で食事も出前宅配を愛用していたので、コロナ禍でも生活にほとんど変化がない」と言っている学生もいます。こうした、なるべくエネルギーコストを使わず楽に消費したいという「エフォートレス欲求」は、デジタル社会の進展によってさらに加速していくと予想しています。

仮に、「得られる価値」を分子に、「行動するコスト」を分母にとってそれを「コスパ」指標とするならば、エフォートレス化が進むデジタル社会とはどんどんコスパが良くなっていく社会といえます。特に情報財は限界費用が低くなるので価格が下がり、さらにコスパが向上していきます。

さらにデジタル社会では、需要の増減に合わせて価格を上下させる「ダイナミックプライシング」の技術も進んでいます。「ダイナミックプライシング」では、一物一価では取りこぼしていた部分(“取りっぱぐれ分”と“取り逃し分”)を回収できるので、企業にとっても売上最大化が可能になります。

例えば、売れ残りそうな外食メニューを値下げしてテイクアウトで提供するアプリが、コロナ禍での小規模外食店舗を支援するアイデアとして注目されています。こうした「ダイナミックプライシング」は供給側、需要側、どちらにもフェアな取引です。テクノロジーによる究極のコスパの実現形態ともいえます。

このように観察していくと、「コスパ」は、コロナ禍で顕在化した一時的欲求というよりも、デジタル化社会の不可逆的なメガトレンドだと考えるべきだという結論に至ります。最近、「リキッド消費」というキーワードが提唱されていますが、関連する論文 1)の中で、コスパ志向の増加が示されています。「リキッド消費」社会とは...

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