コロナ禍により消費者のデジタルシフトがますます進み、店舗においてオンラインへの対応が求められている。OMOが提唱される背景、対応方法について筆者が解説する。
リテール企業や商業施設といった事業者が、「常時オンライン+ネット×スマホでお買い物のスキルや知識が著しく向上したお客さま」に対し、どういうふうにして情報・価値を伝えられるか、どう気の利いたコミュニケーションができるか、どういう継続的な関係を構築できるか⋯⋯。つまり、この先も「お客さまに選ばれ続ける」ために、オンライン〜オフラインを融合・駆使した「OMO(Online Merges with Offline)への対応」が重要になってきています(図1)。
「OMOへの対応」と一口に言っても、茫洋としていますよね。どういったデータを取ればいいのか、何のマーケティングツールを入れればいいのか、どこでアプリをつくればいいのか⋯⋯まずは目指すべきことをはっきりさせましょう。
「OMOへの対応=オンラインとオフラインの融合を前提とした戦略」におけるテーマは、「お客さまとの継続的な関係の構築」であり、その実現に向けて「①個客理解の深化」「②コミュニケーションの進化」「③提供価値の真価(を発揮)」の3つが重要だと考えます(図2)。
①個客理解の深化
●お客さまを属性やクラスタといった集合体としてだけでなく、「“個”客=お客さまそれぞれ」で捉える。
●オンラインのデータに加え、オフラインでの行動もデータ化しマージすることで、嗜好や行動など「個客理解」を深める。
②コミュニケーションの進化
●個客それぞれの「嗜好や行動にマッチした情報」を提供できるようにする。
●常時オンライン状態にある個客に対し、「最適なタイミングやシーン」で情報を提供できるようにする。
●個客のリアクションを捉え、さらなる行動につながる情報を提供できるようにする。
③提供価値の真価(を発揮)
●ネットとスマホを通じて、またリアル店舗を通じて「一貫性があり、気の利いた対応・サービス」を提供できるようにする。
●個客にとって「生活が変わる・向上する」ような利便や、「喜び・感動」といった体験の提供ができるようにする。
企業ごとに「いまやれていること・やれていないこと」や「ビジネス展開上の強み、アセット」は大きく異なるため、「これをやりさえすれば」といった方程式はなかなかないと思います...