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ECを「メディア化」するコンテンツ編集術

Eコマースに求められる編集力

向田 裕

個性あるECサイト(売り場)づくりをしないと埋もれてしまう今の時代。その中で注目されている「メディアコマース」。本連載では全6回にわたって解説を行ってきた。最終回では、編集力について触れていく。

ここまで5回にわたって、ECサイトを“メディア化”するコンテンツ編集術─をテーマに話を進めてきました。少しだけ要点をまとめると、ECサイトに読み物コンテンツを加えてトップページを“目次化”する。商品コピーの“広告っぽさ”を排して客観的に伝える。商品特長を並べるのではなく“物語”を読ませるように。定期的にコピーの内容を“メンテナンス”して読者を飽きさせない⋯⋯。

メディアコマースにも様々な手法がありますが、本連載ではあえて“究極”の方法をサンプルにしながら説明してきました。それはネット上に“自前のメディア”を持つパターンです。ホームページのように自社で運営するわけですから、このサイト内なら商品を販売するほかに、企業イメージを宣伝するも良し、どんなコンテンツを載せても、基本的にはOKです。

ただしこの手法、理想的な形で進めるにはコストや労力がかかる上、集客力をつけるまでには少々時間がかかります。なぜなら、メディアを構成するコンテンツを“内製”することが求められるからです。

これまで多くの企業は、こうしたクリエイティブワークを外部に任せてきました。しかし、ネットの普及によってBtoCの直接発信が容易にできるようになった今、社内に企画・制作能力を持たない手はありません。最近では動画を駆使した「ライブコマース」なども普及し始めましたが、どんな“コマース”を手がけるにせよ、社内にクリエイティブを担当するユニットが必要になります。その肝となるコンテンツづくりを外注したり購入したりしていると、いつまでたっても社内に制作スキルが定着しないのです。

Eコマースの買い物を“楽しく”

現状のネットユーザーは、ECサイトを“検索マシン”と考えて買い物をしています。検索によって目的の商品ラインナップが見つかれば良し。仕様と価格が解れば満足。後はあちこちのサイトを見比べながら“お得”なものを探して放浪を続ける⋯⋯これが「検索買い」の典型パターンです。つまり、ユーザーはそもそもECサイト(店)自体に“楽しさ”を求めていません。

それを変えるのがメディアコマースの考え方です。訪れた読者(購入予備軍)たちをサイト(店)に引き留めて楽しませる(ファン化)。その場で、買おうかな、やめようかな?と悩ませる。もし、今回は購入を見送ったとしても、いつか改めて「また、このサイトを覗いてみよう!」と思わせる(常連客化)ために、新しいコンテンツを絶えず盛り込んでいく⋯⋯。

更新のたびに新ネタを探してボディコピーを書き換えるという作業は、一般的な「広告」のプロセスにはあまりないし、教える人も多くない。そうしたノウハウは...

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