大手通販モールがネット通販需要を席巻する中で、中小規模の通販サイトは、個性あるサイト(売り場)づくりに取り組まないと埋もれてしまう。その中で注目されているのが「メディアコマース」だ。一過性の施策ではない、将来に向けて事業を安定させるための一手を本連載では考えていく。
前回まで、ECサイトをメディアコマース化するには、読み物ページを活用しながら、同時に商品ページのコピーも“更新”する必要があることを説明しました。商品コピーは出来栄えがどうであれ、一通りの商品特長を記しているわけなので、一度アップしてしまうと、仕様変更でもない限りそのまま“塩漬け”にしがちなんですね。
せっかく読み物などで訪問者を誘い込むことができたとしても、いざ買い物をしようと売場(商品ページ)に来るたび、代わり映えのしない商品説明では興醒めです。街のお店のように「専門知識のある店員さん」や「明るくて話の面白い売り子さん」のように“楽しく”買い物をさせる、同時に顧客の“買う気”を盛り上げる、そこが商品コピーの役割です。
今回は、コピー文章のトーンやフォーマットを意識しながら、退屈されないボディコピーの書き方について話を進めます。
ネットの文章は短い方が良い?
まず、ネット上の商品コピーには、箇条書きのような形式が多く見受けられるのですが、これは“ソン”な書き方です。一見、要点が整理されて良さそうなものですが、読み手は広告の文章を覚えようなどという気はありません。なので、箇条書きは目で文字をなぞるだけで、頭に入っていかないのです。脈絡なく歴史の年号を覚えるテスト勉強のようなものですね。
それよりも、その商品がどういう経緯で開発されたのか?どんな人が考えたのか?どんな工程でつくられたのか?その時の苦労は?⋯⋯などのエピソードを織り混ぜながら、流れをつくって訴求する方が効果的です。
メディアコマース的な商品コピーは、情報を伝えるというより、“物語”を読ませるように仕立てたいのです。商品の特長をただ並べるのではなく、そこにまとわりつく細かなトピックと絡ませながら綴ります。
それなりに読みがいのある商品コピーにするには、ある程度の長さも必要になってきます。最低で400文字くらいでしょうか。そのくらいあれば一編の“読み物風”が成り立ちます。よく、ネット上の商品コピーは「短い方が良い」という話を聞きますが、それは誤解です。ネットの読者は長い文章を読んでくれない⋯という先入観からくる発想だと思いますが、読んでくれないのは、そのコピー文章が“つまらない”からであって、ボリュームのせいではないと思います。
えっ!商品コピーって面白く書かなきゃいけないの!?
コピー要素に刺激があるか?
皆さんの中には、「たまには、商品の取扱い説明書でも読んでみるか⋯」という人はいないでしょう...