山手線新型車両の「E235系」とコラボレーションしたメガネを、ジンズが発売する。車体で、窓枠切り抜きを行った端材を使用した商品。先行発売した「第24回鉄道フェスティバル」では合計400本がほぼ完売に。ジンズは2015年にも車両の端材から制作したメガネを販売しているが、消費者からの声をもとに改善したポイントがある。

山手線新型車両E235系とコラボした商品、「クハ」「モハ」の2本を、10月7日、8日開催の「第24回鉄道フェスティバル」で各日200本を先行発売。ほぼ完売した。
コラボを発展させた 消費者からの声
アイウエアブランド「JINS」を手がけるジンズ(旧=ジェイアイエヌ)は11月9日、JR東日本・山手線の新型車両「E235系」とコラボレーションしたメガネ「E235系×JINS made in SABAE」3種を発売する。
各モデルは車体種別にちなんだ名称で、それぞれ「クハ」「モハ」「サハ」とした。いずれも価格は2万円(税別)。「クハ」「モハ」は、東京都内などの主要22店舗のほか、JINSオンラインショップ、JINS楽天市場店、JINSのスマートフォンアプリで売り出す。アプリでは店頭などより1日早く、11月8日から。
「クハ」「モハ」の2本は10月7日、8日開催のイベント「第24回鉄道フェスティバル」で各日200本を先行発売したところ、ほぼ完売した。
「サハ」はオンラインショップ限定で販売する。
ジンズは2015年9月にも、国内外の鉄道車両などを製造する輸送用機器メーカーの総合車両製作所と協業し、電車の車体に用いるステンレス「SUS301L」の端材を活用したメガネを発売。2000本を用意していたが、発売後数時間で完売したほどの反響だった。
第二弾となる「E235系×JINS made in SABAE」を制作した背景を、担当のジンズの向殿文雄マネジャー(デジタルコミュニケーション室)はこう話す。「販売終了後も、『もう一度やってほしい』といった声を多くいただきました。ファンの熱意を痛感しましたね」
向殿氏は、Eコマース(EC)をはじめとした、ジンズのデジタルサービスを手がけている。これまで、人工知能でメガネの似合う度合いを判定するシステム「JINS BRAIN(ジンズ・ブレイン)」や、購入者が自由にメガネをデザインできる「JINS PAINT(ジンズ・ペイント)」を手がけた。
それらと平行して、「コラボ商品は、ECでの販売にとって重要な要素」のため、店舗で展開する通常商品とは別に、EC独自展開商品の企画も積極的に進めている。
「消費者から寄せられた意見・質問には、当社にとって発見がいくつもありました。たとえば、『車両のどこの部分を、メガネにしているのか?』『どの電鉄会社の車両なのか?』というご質問が多かったです。第一弾の際には、契約上、どの車両のどの素材かを明示できなかったので、もう一歩、コラボ商品としての深さを出せると、より多くの方にご支持いただけるのではないかと考えました」
また、第二弾のネーミングにもある通り、今回の生産はメガネの世界的な産地でもある福井県鯖江市で行った。これも、消費者からの意見を参考にしたものだ。
「電車の製造については、日本は世界トップと言えます。その車両メーカーと組んで、材料を転用しながら、第一弾は中国での生産でした。『電車は国産で、メガネは中国産』ということに対するご意見もあり、私たちも納得できるご指摘だったので、今回は国産、それもメガネで有名な鯖江市で製造しました。
ファンだから気づく点というのは、そのまま、ファンに深く届くということでもあります。供給者目線だけだと気づかない点は多いことに気づかされました」
山手線新型車両のE235系とのコラボを決めたのは、2015年11月末から一編成のみ運行していた同車両が鉄道ファンの視線を集めただけでなく、今年度には15編成に増え、より身近になること、東京都心以外の人の認知度も高いことなどが理由。
「コラボ商品の生産スケジュールを考えながら、まずはJR東日本に申し入れをして。さらに山手線E235系の車体で、窓枠切り抜きを行った端材を使用できるよう、総合車両製作所サイドとも調整を進めました。第一弾のときは手探りだったのですが、今回は前例がある。座席部と同じ素材を用いたメガネケースを制作するなど、発展的なチャレンジができました」 ...