2012年に初めてコラボレーションし、ことし5年ぶりに復活を果たした文具メーカーのコクヨとアイスクリームチェーンのB-Rサーティワン アイスクリームによる商品。サーティワンのフレーバーをイメージした絵柄の「キャンパスノート」は、5年前同様、高い売り上げをあげた。5年ぶりとなったコラボを実現させたねらいとは。

一番の目的は相互送客
─2012年に初めてコラボ企画を実施した経緯は、どのようなものだったのですか
コクヨ 竹本裕実子:当社では、限定の柄をデザインした「キャンパスノート」を毎年春と夏に発売しており、なかでも夏はイベントをはじめとする催し物をしたいと考えています。初めて夏にイベントらしいことをしようと考えた5年前、当時の担当者が、中高生がメインユーザーである「キャンパスノート」と、中高生がかわいい、おいしいと思う「サーティワン アイスクリーム」との親和性に着目し、当社からコラボの話を持ちかけたのが始まりです。
B-Rサーティワン アイスクリーム 三橋恭:当時は別の者が担当していたのですが、まだ「コラボレーション」という言葉もいまほど聞かないころでしたし、会社としても販売数も含めてここまで大々的な企画は初めてでした。フレーバーを前面に押し出すのも初めてだったので、それが世間に受け入れられるのかどうかもわからない。当社としては大きなチャレンジでしたね。ただ、2012年のコラボはとても好評だったと聞いています。
竹本:そうなんです。5年ぶりにコラボしようと考えたのは、当時のコラボの売り上げ記録が、それ以降、毎年夏に発売したどんな柄のノートにも塗り替えられていなかったことや、当時のお客さまからも「また販売してほしい」といったお問い合わせを多数いただいていたことが理由です。さらに、ことし1月に女子中高生を対象に行ったアンケートで、8割強の方から「買いたい」「欲しい」というポジティブな反応が返ってきたことが決め手となりました。
三橋:前回の実績があるので、我々としてもぜひやりたいと。当社は、「バスキン・ロビンス」というブランドを掲げて、日本でアイスクリーム店を展開できるライセンスをもらっている立場で、ロゴやフレーバー自体はアメリカの会社に帰属します。ですから、すべて米国の認証を得て展開します。
また、同じコラボをするのでも、なるべく多くの方との接点を増やすために、老若男女全般に購入してもらえる商品とコラボしたいと考えています。コクヨの文具は幅広い年齢層に使われるものですし、メインターゲットにもぴったり合う。ブランドに好意を抱いてもらうことも含めて相互送客ができる点が、コラボに至った一番の目的ですね。

店頭でのコクヨの販促物のひとつであるガーランド。コラボ仕様にし、細部まで作り込んでいる。
時代の変化に合わせた工夫を
─初めてコラボしたときの苦労話があれば教えてください
竹本:当時は、両社ともにほとんどコラボした経験がなかったため、それぞれの会社の考え方や常識が通じなかったことに苦心したと聞いています。たとえば、「キャンパスノート」が5冊入った「パックノート」は、教科ごとで色分けして使えるよう、すべて異なる色が入っていることや、「そもそもパックノートとは何か」といった、基本的な情報を共有するところからスタートしました。
反対に、デザインや色から味がイメージできるのは前提として、「アイスに入っていない果肉を描いてはいけない」など、デザインに関してご指摘いただくこともあり、すり合わせにとても時間がかかったそうです。
三橋:そうですね。当時は我々も初めてのことで試行錯誤していましたが、今回は前回好評だったデザインを踏襲しているので、前回ほどの苦労はありませんでした。
─5年ぶりに再度コラボを実施するにあたり、工夫したことはどんなことですか
竹本:前回とはラインナップを少し変えています。アンケートの結果を見ると、いまの中高生と5年前の中高生が感じる"かわいい"が少しずつ変わっているんです。
今回はその結果や前回のコラボの経験をもとに、前回のラインナップ「ジャモカアーモンドファッジ」「チョコレートミント」「ポッピングシャワー」「ラブポーションサーティワン」「バナナアンドストロベリー」という5つのフレーバーのうち、「ジャモカアーモンドファッジ」と「チョコレートミント」のみを改訂しました。「チョコレートミント」は、5年前は少し渋めのブルーでしたが、今回はグリーンかかったブルーにしていて、最近はそれがかわいいとされているんです。
三橋:当社としてもグリーンかかったブルーの色は実際のアイスクリームと色合いがかけ離れているわけではないので、ノートとして販売実績のある新ミントカラーに合わせてもらうようお願いしました ...