最もハードルが高く、最もインパクトを出せる"コラボレーション"は、企業同士の経営統合ではないだろうか。食品宅配大手のオイシックスと、大地を守る会は10月1日付で経営統合し、「オイシックスドット大地」として新たなスタートを切った。似ている部分、異なる部分を見つめ直し、相乗効果をどのように出すのか、方針説明会のもようを伝える。
2022年度までに売上高1000億円を目指す
食品宅配大手のオイシックスドット大地は、大地を守る会との合併を機に、およそ5年半後の2022年度までに売上高を1000億円、会員数を50万人に伸ばす方針を発表した。旧・大地を守る会の藤田和芳氏と、旧・オイシックスの高島宏平氏が10月12日の会見で明らかにした。両社の10月1日付の経営統合後、藤田氏は会長に、高島氏は社長に就いた。
売上高1000億円は、2016年度比で約2.6倍で、定期購入の会員数50万人は同比2.5倍という数値。
高島社長は、「1000億円が目指すべきスタートであると考えている。体にいい食べ物の販売がニッチ産業というのは、ある種不自然。当たり前の選択肢に入らなければならない。食品小売業としては、売上高1000億円が、選択肢に入ったと言えるひとつの基準と考えている」と考えを述べた。
具体的には、2018年度から5年で、中核となる宅配事業を年次20%成長させ、月間会員1人あたりの売り上げを年次3%増の1万6000円に伸ばす。「会員数は現在も年率20%ほどで伸びているので、ペースを維持したい。月間の会員1人あたり売上高は、オイシックスが約1万4000円、大地を守る会が約2万円という状況なので、ポテンシャルはある。食品以外の販売や、プレミアム会員制度の導入・進化も行う」(高島社長)
2017年度の売上高は380億円、会員数は20万人を目指す。両社の16年度の売上高合計は360億1000万円で、2位のらでぃっしゅぼーや(売上高197億円)に対し、倍近い差をつけつつある。また、16年度時点のオイシックスの会員数は約13万7000人、大地を守る会の会員数は約4万6000人で、合計約18万3000人。
ブランドは、「オイシックス」「大地を守る会」の2つで展開する。オイシックスは「プレミアム時短」、大地を守る会は「丁寧な暮らし」を打ち出すという。
「会員増を目指す上で重要なのはプロモーション効率だが、両社を比べると、大地を守る会はオイシックスに比べ、オフラインでの獲得に強いことがわかっている。一方、1件あたりの獲得コストは倍かかっていた。当面は同じ予算でいままでより多く会員を獲得できるよう、努めたい。オイシックスでは、2016年はFacebook経由での獲得が伸びたが、2017年はいまのところ(写真共有サービスの)Instagram(インスタグラム)が伸びている。効果的なネット手法は変化が著しいので注視していきたい」(高島社長)
売上高のけん引役となっているのが、「KitOisix(キットオイシックス)」と名付けた、レシピと素材を合わせたパッケージ商品。あるていど調理した状態で、1食分ずつ宅配する。「キットオイシックス」は、2013年7月発売以降、17年6月末までの累計出荷数が600万食を突破した。会員数は2017年度第1四半期時点で5万5000人。また、新たな製造拠点を当年度中に稼働させ、生産能力を現在の2.5倍に増強する ...