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トップの現場力

商品は言わば「オマケ」 来店者が買うのは「接客」

行列ができるスイーツブランドとして人気の「焼きたてチーズタルト専門店PABLO(パブロ)」。行列に並んでいるときから来店客を飽きさせない工夫を凝らし、非日常の価値を提供している。日本を代表するスイーツの店舗となることを目指し、海外展開にも力を入れる。

ドロキア・オラシイタ 代表取締役 嵜本将光(さきもと・まさみつ)氏
1980年3月生まれ。大阪市 出身。18歳で家業のリサイクル会社を継ぎ、2008年にスイーツ業界へ参入。「おどろ菓子」をコンセプトに掲げた今までにないスイーツを生み出し、2011年には焼きたてチーズタルト専門店「PABLO」を立ち上げ、現在国内で23店舗、海外で2店舗を展開している。

―貴社にとっての現場力とは?

研修などを通じて、社員・アルバイトを問わず、商品ではなく接客を買ってもらう、つまり販売クルー自身のファンになってもらうことが、現場において重要であると考えています。

お客さまが満足してもらえるような、真心のこもったサービスに対してお金をいただけるとすれば、商品は言わば“おまけ”となるわけです。

その感覚で接客の時間を充実したものにすることで、お客さま満足と従業員満足とが同時に得られると思っています。

店舗では、おいしいチーズタルトを販売するのはもちろん、お客さまに幸せな時間を提供することに力を入れています。そのため、店に入るために行列に並んでいるときから店を出るまで、商品の陳列や店内の雰囲気、スタッフの接客態度など、すべてにおいて来店されるお客さまを飽きさせない工夫を常に心がけています。

おかげさまで多くの店舗で、行列ができるほどのお客さまに来店いただいています。店舗の外壁をガラス張りにしているのは、外で並んでいる間も、店内のディスプレイや陳列しているチーズタルトが見えるようにして、お客さまに楽しんでもらうためです。店舗のキッチンを見えるようにしているのも、製造工程を見て楽しんでもらいたいという思いからです。

ことし、心斎橋店をリニューアルし、商品をさらに手に取りやすくしました。新規店舗だけでなく、お客さまに楽しんでもらえるよう、既存店もさらに進化させていきます。

―焼きたてチーズタルトが人気ですね。

「今までにないチーズケーキをつくりたい」という思いから、試行錯誤を重ねて完成させました。

商品の温度や製法に徹底的にこだわっているのはもちろん、とろける食感の“レア”、絶妙な焼き具合の“ミディアム”のいずれかから、お客さまにとって好みの焼き加減のチーズタルトが選べます。これは、“チーズケーキの革命”と呼んでもいいと自負しています。

PABLOの焼きたてチーズタルトが誕生したきっかけは「ステーキ」です。レストランで食事した際、「チーズケーキもステーキのように、好みに合わせて焼き加減を選べたらいいのではないか」と思いついたのが、きっかけでした。

実は、私は食べ歩きが好きで、スイーツに限らず、色々なお店に入るんです。食べ歩いているときは、見聞きすることから刺激を受け、「これをスイーツにも応用したら…?」と、インスピレーションが、次から次へと湧いてきます。

いま、世の中にはおいしい食べ物やスイーツがあふれています。しかし、新しいブランドが出てきても、間もなくすると、消えてしまうケースが多い。当社ではなるべく一過性の商品にならないようにと考えているのですが、「お客さまが焼き加減を選べるチーズタルト」も、長くご支持をいただくためのアイデアと言えるかもしれません。

7月15日にオープンしたPABLO miniイオンモール大和郡山店(奈良県)。

―企業タイアップも行ってきましたが、成果についてはどう捉えていますか?

2013年に当社で監修したチーズタルトを、全国約1万店のファミリーマートで期間限定販売しました。

その後、2014年にチョコチーズタルトを関東・関西地域の約6600店舗で、2015年に抹茶チーズタルトを、関東・関西地域の約1万1400店舗において期間限定販売しました。

また2014年には、赤城乳業の本格スイーツケーキアイス「ドルチェTime」とコラボして、チーズタルトをイメージしたアイスクリーム「とろける美味しさチーズタルト」を開発、全国のコンビニエンスストアで発売しました。2015年にも新作として「濃厚な味わいプレミアムチーズタルトアイス」を発売しましたが、想定以上に大好評で、即時完売の状態でした。

他社商品とのタイアップによって、パートナー企業と当社、お互いのアイデアがつまった“今までにない新しい商品”が生まれます。これは、当社の商品コンセプトである“おどろ菓子(驚きと感動を提供できるお菓子)”に通じるところがあります。

タイアップ商品のリリース告知では、パートナー企業と当社がそれぞれ発信することで、異なった層の消費者へ、有効な販売促進が図れるのも魅力です。全国的にみれば、PABLOの店舗がない地域がまだまだたくさんあります。タイアップを展開することで、地元にPABLOの店舗がない地方のお客さまにも、PABLOの商品を知ってもらえます。現在、ほかのタイアップ計画も進めているところで、今後も積極的に展開していきたいと思っています。

カフェを併設した大阪・道頓堀店。路面の2階部分に設置した、大きなチーズタルトのオブジェのネオンが印象的。道頓堀のランドマークとしても親しまれている。

―最近の消費者の動向で気になることは?

海外からのお客さまが増えていることは目に見えて実感しており、当社でも訪日客向けの“おみやげ需要”を捉えることに力を入れています。例えば、商品パッケージは、文字を読まなくても中身の魅力を理解してもらえるよう、素材の良さが伝わりやすい写真を使ったデザインに変更し、売り上げが20%以上伸びました。

海外への店舗展開も積極的に進めており、すでに韓国に出店を果たしました。2015年5月に韓国・ソウルで人気の高いショッピングエリア、明洞に出店しました。初めての海外出店ということで苦労もありましたが、行列ができるほど多くの方が来店されています。

ことし1月には、台湾の台北駅前に出店しました。1階がテイクアウト、地下1階にはカフェもあり、ゆっくりと焼きたてチーズタルトを召し上がってもらうことができます。現地の人からも好評で、台北の店舗ではオープン初日、1000人以上のお客さまが並びました。1日に540万円を売り上げる日もあるなど、現地のお客さまから支持されています。

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