創業から三十数年。菓子職人である夫婦が始めた一軒の菓子屋はいま、人気銘菓を製造する菓子店として、注目を集めている。主力商品の「月化粧」は、販売開始から5年で年間売上1000万個を突破。関西という地に根差し、変わらない創業の精神と新しい試みに挑戦する「青木松風庵」の歩みをクローズアップする。

青木松風庵 代表取締役社長 青木一郎(あおき・いちろう)氏
1980年生まれ。2005年近畿大学理工学部卒業、青木松風庵に取締役として入社。ハタダへ出向。2009年天平庵常務取締役に就任(兼任)。2014年4月より青木松風庵・天平庵代表取締役社長に就任。
―青木松風庵にとっての「現場力」とは?
青木松風庵(大阪・泉南郡)は、1984年の創業以来、「おいしいお菓子をつくりたい」という父(会長)の信念と、「一期一会のおもてなしを」という母(副会長)の2つの考えを柱に、ここまで成長してきた会社です。現在は、この創業の想いを私(社長)と妹(専務)が引き継いでいます。
私たちは、小さいころから「現場」(工場や店舗内)のそばで育ってきました。そうしたこともあり、年末年始の繁忙期や贈答シーズンになると、たとえ役職者であっても現場で箱詰め作業をしますし、店頭に立つのも当然のこと。当社のお菓子づくりの流れをすべて経験した上で、現在の役職に就いています。
よく「家業」と「企業」の違いは何かと問われます …
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