インストアコミュニケーションで売り上げを高めるのに販促は欠かせない─しかし西友の木村真琴氏は「いまこそ小売は販促に疑問を持つべき」と話す。
テレビCM やチラシ、店頭POP まで、西友のコミュニケーション施策はすべて担当している木村真琴氏。講演では、「その日の売り上げを追うだけの『販促』には意味がない」とバッサリ。
「POPであふれかえった店頭は本当にセールスに寄与しているのか。売り上げが確保されたような気になったり、仕事をした気になっているだけではないのか」と厳しい。
西友では、プロモーションではなく、ブランディングを重視しているという。しかし、ブランディングで売り上げを高めることはできるのか?
「たしかに、小売にはブランディングは必要ないとお考えの方もいる。なぜなら『立地』『品揃え』『価格』の3要素が良ければ売れると考えられているからだ。しかし、本当にそれだけだろうか」。
木村氏は、街場の小さな青果店でも、ブランディングが生きていると話す。他店との違いを明確にする、野菜を選ぶ店主の目利き、その日買うべき品のアドバイス、お客を呼ぶ声……いずれをとってもブランディングだ。これらの一つひとつが有効に機能し、いつ訪れても変わらないコミュニケーションがあると、つい、その店で買いたくなる。少なくとも、野菜はその店で買おうと考えるようになる。
「もしこの店主がいなくなったらどうなるか想像していただきたい。代理の方の目利きがすぐ信用できるか。商品の勧め方や呼びかけ方も慣れないものになる。『立地』『品揃え』『価格』すべて同じでも、おそらく売り上げは落ちるはずだ」。
つまり、コミュニケーションも、その店をその店たらしめる不可欠な要素なのだ。木村氏はこう続ける。「私が考えるブランディングというのは他店と明確に『差別化』すること。いつ訪れても ...