声高に叫ばれる「オムニチャネル」施策。東急ハンズでは、まさに「やってみなければ分からない」ことが多いという。まず動く、が先決なのかもしれない。
東急ハンズのオムニチャネル推進部が立ち上がったのは2014年。講演ではまず、東急ハンズのEコマース(EC)担当部署や情報システム部門が統合され、オムニチャネル推進部設立に至った経緯から紹介された。店舗とEC の顧客データベースの一元化や二重業務の整理、商品の配送経路の改善などを1年がかりで進めた。
現在、オムニチャネル推進部長を務める長谷川秀樹氏が遡ること2002、03年ごろ、先を行くと言われる米国のオムニチャネル事例の視察に行った際のエピソードも触れられた。そこで見えた、日本との一番の違いは、「彼らは変化することはポジティブなことだという考え方が一般的。そして、おおらかというのが良いのか、日本の小売業の常識では考えられないようなことも行う」。例えば、アパレル専門店チェーンのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ。「会計を済ますとA4の紙を渡された。これは何か、と聞くと、『メールアドレスを書いてほしい』と言う。見れば、おそらくその前の来店者のものだろうアドレスが書き連ねられていた。『書いてもらえれば、そこにレシート情報を送る』と言う。私たち日本の小売業からしたら、どこから指摘すればいいか分からないくらいだ」。もちろん、これを日本に持ち込んだら大問題になる。ただ、「まずはやってみる」という部分では、見習うところもあるかもしれない。
例えば、東急ハンズのアプリに搭載された「スキャン機能」。店頭で気になった商品のバーコードをアプリでスキャンしておくと ...