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映画『ジュラシック・ワールド』ほかエンタメ4事例の集客策

東宝東和/東宝映像事業部/アニプレックス/クリエイティブマンプロダクション

夏休みを目前に控え、各種レジャーのプロモーション合戦が活気を帯びてきた。特に今年は映画の当たり年と言われ、人気シリーズの続編や話題作が目白押しだ。近年はレジャーやその楽しみ方も多様化し、映画は映画だけが競合ではなくなってきている。海、山、キャンプ、テーマパークなどレジャー全般の中からいかに選ばれるのか、映画や音楽フェスのケースから秘訣を探った。

    [CLOSE-UP!(1)] 
    『ジュラシック・ワールド』
    東宝東和

    “テーマパーク”のオープンを告知する

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    昨年12月、テーマパークのオープンを告知したティザービジュアルを解禁。



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    ゲートを開け、テーマパークのオープンを告知する記者発表会を5月13日に実施。映画の設定を早めに知らせることで、メディアや口コミで情報が拡散されることを狙った。



    “テーマパーク”を疑似体験させる

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    テーマパーク内の様子を描いた本ビジュアル。



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    予告映像では、パーク内を来場者が見学したり、恐竜が飼育されている様子が描かれ、パーク内の興奮を感じられる作りになっている。



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    「テーマパーク公式サイト」を模した映画公式サイト。トップページでは、パークの混雑状況や天気も表示(左)。
    パーク内宿泊施設「ヒルトンホテル」の詳細も掲載(右)。あたかもテーマパークがそこに存在するかのような感覚を見る人に与える。

“テーマパーク感”を訴求し夏休みのレジャーとして打ち出す 
『ジュラシック・ワールド』

「ジュラシック・パーク」シリーズの最新作『ジュラシック・ワールド』がいよいよ日本でも公開される。6月12日に世界で公開されると、オープニング週末の3日間の興行収入が全世界合計5億ドルを超え、映画歴代記録に。これを受け、日本でも急きょ公開日が8月5日に早まった。1993年に初めて公開され、日本でも興行収入138億円を達成した『ジュラシック・パーク』の22年後を描く作品として注目が集まっていたが、世界での大ヒットでさらに期待が高まっている。

映画のプロモーションでありながら、あたかも「ジュラシック・ワールド」というテーマパークが実在するかのようなプロモーションを展開してきた。東宝東和 宣伝プロデューサーの西埜公一郎氏は「競合は夏の大作だけでなく、海や山などレジャー全般。普段は映画を観ない人や、『ジュラシック・パーク』を知らない若い世代にも、テーマパークに行く感覚で興味を持ってもらいたい」と話す。

そこで打ち出したメッセージが、「The park is open.(あのテーマパークが、遂にオープンする)」。『ジュラシック・パーク』での事故の後、同じ島で新たな恐竜テーマパークが建設され、今では日に2万人もの観光客が訪れるリゾート地として成功しているという設定だ。この打ち出しには、シリーズの続編が不振に終わった結果、1作目に興奮したかつてのファンを取り戻す狙いもある。「最新作には1作目のオマージュが散りばめられており、1作目を好きなファンにこそ楽しんでもらえる内容です。学生時代に『ジュラシック・パーク』に刺激を受け、いまは親世代となった方々に、今度は子どもと一緒に見たいと思ってもらえるようなプロモーション展開を意識しています」と西埜氏は話す。

プロモーションでは、「テーマパーク感」を徹底して伝えていった。劇場用ポスターやチラシなどの宣材では、シリーズに共通するお馴染みのロゴと、「あのテーマパークが、遂にオープンする。」というキャッチフレーズで期待感を醸成。予告映像では、モササウルスのえさやりショーや、アトラクションに興奮する来場者の様子など、テーマパーク内の興奮を伝えている。秀逸なのは、映画の公式サイトというよりも、まるで「テーマパークの公式サイト」のような作りのウェブサイトだ。パークの混雑状況や現地の天気が分かるほか、パークを経営する架空企業「マスラニ社」の公式サイトまで用意されているという手の込みようだ。

5月13日には、「テーマパーク・オープニングイベント」と称した記者発表会を実施。会場には、劇中にも登場する「ジュラシック・ワールド」への入り口、高さ4メートルの巨大ゲートを再現した。パーク・スタッフ役でもあるお笑いコンビ、オリエンタルラジオの二人がパーク内施設をプレゼンテーションしたほか、日本語吹替え版の声優を務める俳優の玉木宏さんと女優の木村佳乃さんが発表された。

同時期にはテレビCM も開始。公開3カ月前という早めのタイミングでの実施だが、これには理由があった。「夏の大作と同時期ではなく、夏休みのプランを考え始めるタイミングに疑似的にテーマパークをオープンさせ、CM やパブリシティを通して全国隈なく情報を拡散させることを狙いました」(西埜氏)。

スマホ世代には迫力映像を切り口に興味喚起

『ジュラシック・パーク』を知らない若い世代に対しては、彼らの身近なツールであるスマートフォンで自然に「テーマパーク感」に触れてもらえるようにした。迫力ある予告映像を含む数多くの映像をYouTube やSNS で紹介している。「映像で目に触れたテーマパークのアトラクションに興味を持ち、『後で映画だと知った』という声もツイッター上で見られる」(西埜氏)といい、こうした逆アプローチでの興味喚起も狙いどおりだ。

また、5月の記者発表会では公表されていなかったが、10代に人気の女優・松岡茉優さんを新たに吹替え版の声優に起用。その情報を6月に発表し、若い世代でのさらなる話題喚起を図った。

西埜氏が“プロモーションの集大成”と位置づけるのが、7月に実施されるジャパンプレミアと、その後2万人規模で実施予定の試写会だ。「映画を実際に観てもらうのが、作品の良さを知ってもらうには一番です。観れば必ず周りの人に話したくなる、スケール感のある作品です」と西埜氏は自信を見せる。

目標興行収入は100億円。前売り券の売れ行きは順調で、「作品が注目されている実感がある」と西埜氏は話す。「これまでをふり返って感じるのは、『ジュラシック・ワールド』のような“王道作品”には、プロモーションも王道な手法が相応しいということ。つまり、作品の力を信じ、それをどう伝えていくか。これに尽きると思います」。

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