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5社の取り組みを検証 アウトドア用品のプロモーション

前田はるみ

毎年成長を続けているアウトドア用品市場。以前、中高年に人気だった山登りだけでなく、キャンプや野外フェスなどさまざまな活動を楽しむ人が増え、利用者も幅広い年代に広がっている。どのようにしてアウトドアに親しみを持ってもらい、最終的に商品購入につなげているのか、各社のプロモーションの取り組みを取材した。

アウトドアといえば以前は山登りのイメージが強かったが、店頭にはハイキングやキャンプ、カヌー、カヤックなど、さまざまなアクティビティで使えるグッズやウエアが充実している。アウトドアメーカー各社は、初級者でも気軽に参加できるスクールやイベントを開催し、ユーザーの拡大に余念がない。問題は、アウトドアにそれほど興味のない人たちにどうアプローチするかである。ただ単に商品をアピールするだけでは効果がなく、いかにしてアウトドアの楽しさに気づかせるかがポイントになる。

[CLOSE-UP!(1)]
都心で、店先で、屋内外で、気軽にアウトドア体験

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    六本木の広場でアウトドアイベント開催
    ●コールマン/キャンプ場に足を運ばなくても、日常の生活圏内でアウトドアを気軽に体験してもらうのが狙い。これまで東京で開催してきたが、関西でも実施の要望が強い。



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    ショッピングモール前に突如現れた巨大プール
    ●コールマン/スポーツオーソリティ幕張新都心店で行われたカヤック・SAP体験イベント。プールはアメリカから取り寄せた。体験希望者の行列が絶えず、約200人が体験した。



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    屋内に設置したプールでカヌー体験
    ●モンベル/会員向けイベント「フレンドフェア」において、屋内に設置したプールでのカヤック体験、クライミングやツリーイングなどの体験イベントを実施。会場内ではアウトレット商品販売も行っている。



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    大人も楽しめる雪上キャンプイベントを開催
    ●コロンビア/今年3月、北軽井沢で開催されたOMNI-HEATCAMP2014(1回目)には、家族連れを中心に約200名が集まった。雪上アウトドアに相応しい服装として、イベントのタイトルにもなっている「オムニヒートウエア」を着るように勧めている。

街中や店頭など身近な場所でアウトドア体験をつくり出す
コールマン

ファミリー層をメインターゲットに、あらゆるキャンプ用品を取り揃えるコールマン。最近はトレッキングやウォーターレクリエーションなどのアウトドア用品も充実させている。

入門者向けキャンプ教室は、今年で12年目を迎える。参加者にキャンプ用品を貸し出し、テントの設営や燃焼器具の使い方、キャンプ場での過ごし方などを教える。こうしたキャンプ場でのイベントに加え力を入れているのが、アウトドアに馴染みがない人にも楽しさを知ってもらうことを狙った、より身近な場所での体験機会の創出である。今年5月、六本木・東京ミッドタウンの芝生広場で開催した「アウトドアリゾートパーク」には、2日間で約1万8000人を集めた。8月には、ショッピングモール前に巨大プールを設置し、買い物客が気軽にカヤックなどを体験できるイベントも行った。

店頭でのテント設営デモンストレーションも、入門者のハードルを下げるためには重要な施策である。夏には、入門者向け売れ筋商品である「タフワイドドームⅣ」の設営講習会を、全国31販売店で83日間開催した。店頭イベントは、6万超のファンを抱えるコールマンの公式フェイスブックに告知することで店頭誘導が見込まれ、「販売店からは大変喜ばれる」(コールマン ジャパン マーケティング本部の梅園あい氏)という。

しかし、イベント当日にテントなどの大型商品が購入されるケースは稀であり、イベント集客を販売につなげるには、その後の販売店の協力が欠かせない。「後日お客さまがお店に戻ってきた時に、販売店のスタッフに購入の背中を押してもらえるよう、店頭イベントを通じて販売店にも商品理解を深めてもらったり、イベント後の販促に活用できる景品を用意するなど、販売店にも喜ばれる施策を今後も意識していきたい」と梅園氏は話す。

キャンプのイメージを「おしゃれで楽しそう」に転換

直営店を持たない海外ブランドのコールマンにとって、ブランドメッセージを存分に伝えられる場所は、ウェブサイトやカタログが中心となる。同社は2012年、商品紹介をメインとする構成から、アウトドアを楽しむ人々に焦点を当てるなど、アウトドアの楽しさを伝える構成へと方針転換。その時まず好感触だったのは、メディアだったという。「多くの雑誌編集者から、『読者の楽しむ顔が浮かぶから、ぜひ誌面で取り上げたい』という声がありました。アウトドア専門誌に限らず、ファッション誌やライフスタイル誌など幅広いメディアで取り上げられる機会が増えました」(梅園氏)。

今年は、ファッション感度の高い層にもアウトドアの魅力を訴求するため、従来のテントより軽量・コンパクトで、見た目もおしゃれな商品を発売した。ターゲットを共有するSUZUKI「ハスラー」と組み、ショッピングモールなどで展示キャラバンを計17回実施。来場者の楽しむ様子を撮影した写真をウェブサイトに多数掲載した。

これらの取り組みが功を奏し、最近は「キャンプは道具がかさばるし、面倒くさそう」というイメージから、「おしゃれで楽しそう」というイメージへ変わりつつあるという。こうしたイメージ転換は、アウトドアに興味を持つ人を確実に増やしているようだ。その証拠に、「自分はアウトドアをやらないけれど、コールマンのウェブサイトやフェイスブックを見ている」という人が増えていると梅園氏は言う。オンラインショップを含むウェブサイトのユニークユーザー数も、11年の45万人から、14年には128万人と約3倍に。「今後もキャンプの楽しさを訴求し、体験の場を提供し続けることで、潜在顧客をアウトドア愛好者に変えていきたい」と梅園氏は話す。

新たなアクティビティを提案しファンのすそ野を広げる
コロンビアスポーツウェアジャパン

コロンビアスポーツウェアジャパンは、アウトドア入門者から高所登山者まで、幅広いユーザー向けにアウトドアウエアを展開。同社は3年前から、アウトドア愛好者のすそ野を広げるための新たなアクティビティとして、ロングトレイルを提唱している。

ロングトレイルは、自然を楽しみながら長い距離を旅するアメリカ発祥のハイキング。頂上を目指す登山とは異なり、景観やその土地の文化を楽しみながら自然の中に身を置くロングトレイルは、日本でも注目されつつある。アメリカ・オレゴン生まれのコロンビアにとって、ロングトレイルの紹介には、ブランドが誕生したアメリカの自然や文化を紹介する狙いもある。過去には、欧米のロングトレイルを紹介したムック本を制作したり、オレゴンのトレイルを歩く旅番組を提供したりした。今年春には、富士山山麓の「東海自然歩道」を紹介する小冊子を制作して店頭で配布するなど、国内のコースも積極的に紹介している。

また、『山ガールネット』など山登り専門の媒体と組みロングトレイルツアーを企画。ツアー実施前には直営店で事前講習会を実施し、ロングトレイルに必要な服装や装備をアドバイス。店頭では春と秋の年2回、フェアも実施している。同社マーケティング部の衛藤 智氏は、「ツアーに参加者が集まり手ごたえを感じる一方で、国内ではコースが少ないなど課題も多い。各団体と協力してトレイル整備を進めるほか、ロングトレイルの魅力を伝えることで、ロングトレイルを楽しむ人を増やしていきたい」と話す。

フェス、ロングトレイルの次は雪上アウトドア

新たなアクティビティを提案することで、新規ユーザーを呼び込み、アウトドアウエアの販売につなげる。コロンビアはこれを…

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