20〜30代にとって、50〜60代は未知の領域。ましてや肉体的、精神的、金銭的に同様の実感を得るのは難しい。ここでは、来店前後におけるシニア客の特徴から、シニアが求める感覚を探る。『取材が来る店』の著者、吉野信吾氏にシニアの価値観にミートするための方法を聞いた。
いいから、店長呼んできて!
エキスパートを味方につけることでシニアの満足度を上げる
質問にただちに答えられない若い店員に向かって、シニア客が「いいから、分かる人呼んできて」と言い放つのは、よく目にする光景だ。シニアは経験上、次の展開が読める。それだけに、教育されていない店員の対応にイラついてしまう。
注文間違いや会計が遅いといった店側の対応のまずさにも、怒りを露わにする。若い頃は控えていた文句も年下の店員が多くなれば言いやすい。口うるさく感じても、その訴えは実はシンプルでまっとうだったりする。シニアが多少高くてもホスピタリティが充実した店舗を利用するのも、こうした不機嫌な思いをしたくないからだ。
過剰な接客を求めているわけではない。質問をしたら、きちんと答えてほしいが、自分よりずいぶん年下の店員が用もないのに近寄ってきて分かった口を利かれても、冷やかな目で見てしまう。
一方、精通した人や、長年の経験者が行うサービスには、財布のひもがゆるむ。大学教授と行く歴史めぐり、インストラクターが指導する健康づくりなど、エキスパートを味方につけることで ...
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