消費の大きな鍵を握る「シニア世代」。リタイア後の充実した人生を送る自分自身のための消費、そして「6ポケット」と表現されるように孫の世代への消費をどう活性化させるか。活動的で、消費意欲も旺盛なこの世代を重要なターゲットとする企業の担当者が、シニアに効くプロモーションについて意見を交わした。

左からエイチ・アイ・エス・髙橋洋氏、大丸松阪屋百貨店・仲村恭一氏、日比谷花壇・安藤路育氏。
社会的イメージも変わりつつありニーズが高い「終活」サービス
――現在取り組まれている、シニア向けの施策を教えてください。
安藤▶日比谷花壇の葬儀事業は、花に関連したサービスから得たノウハウを生かして、業界に進出してきました。とはいえ、花だけに特化した演出ではなく、「自分の最期はどうやって見送られたいか、また喪主としてどうやって親を見送るか」というお客さまの気持ちに応えられるように1組1組じっくりお話を聞いてカスタマイズするプランを特徴にしています。ですからセットプランは用意していません。当社は、主にウェブサイトで受注を行っていますが、申し込みされる方はウェブだけを見ているわけではありません。葬儀というのは突発的に起こることも多いので、事前に当社の葬儀事業を知ってもらうことが重要です。そこで、オフラインでの接点ということで、イベントや勉強会の開催に力を入れています。具体的に言うと、私どもの事務所や、事務所近隣の福祉協議会の加盟団体と組んで「お葬式勉強会」を行い、会場に祭壇を組んで葬儀にかかる費用や、いざというときのための準備について話をしたり、実際に棺に入ってもらう「入棺体験」や「遺影撮影会」を行っています。
仲村▶入棺体験はテレビでも取り上げられていましたね。
安藤▶実際に入ってみると「結構安心する」というような言葉をいただきます。遺影撮影会も、亡くなった時に使う良い写真がないという声が多く企画しました。数千円で手軽に撮れるということもあり、友達同士で誘い合わせて「もっと笑った方がいいわ」なんてキャッキャいいながら、楽しい雰囲気で行われています。
仲村▶「終活」はニーズありますね。松坂屋上野店では、外部のサービスを紹介していますが、終活関連は特に需要があると報告を受けています。
安藤▶葬儀についても雑誌やテレビなどのメディアで「終活」といったキーワードで特集を組まれることが増えています。葬儀に対する社会的イメージの変化に伴って終活のニーズも増えていると感じています。ニーズという意味では、最近増えている家族葬や、自宅で送りたいという希望を受けた「おうちへかえろう」というサービスも行っています。比較的大きな家を持つ方が選ばれますが ...