ガラスを隔てた奥には、隣接する公益財団法人ライオン歯科衛生研究所が運営するクリニックが見える。また、店内に設置した洗面台はテスティングコーナーとして使用。天井の高さは5.7mと高く、解放感がある。
4月にオープンしたオーラルケア用品の専門店「ORALYSIS」は、予防歯科の啓発と普及を目的としたライオンの新事業だ。同社製品を中心に100種類以上のオーラルケアグッズを扱い、歯科衛生士の資格を持つ「おくちコンシェルジュ」が常駐。"美容院感覚で相談できる" をコンセプトに、顧客一人ひとりのライフスタイルに合った商品選びをサポートする。
「ORALYSIS」の構想が浮上したのは4年ほど前。背景には、予防歯科の普及が進んでいない日本の歯科医療に対する問題意識があったと、ライオン 経営企画部の堀部峰子氏は話す。「日本では治療で歯科医へ行く場合が多く、予防のために行く習慣があまりありませんし、歯科医で推奨されるケア方法は少し難しい場合もある。例えば、一本の歯を20回ブラッシングする歯磨きが理想的と言われますが、これを毎日実行できる人はほとんどいないでしょう。そこで、一人ひとりに合ったケア方法やグッズを提案する場をつくることで、予防歯科の普及を目指しました」
同店で重視するのが、販売時のカウンセリング。顧客のライフスタイルを聞いた上で、無理なく続けられるケア用品を提案することが、リピート来店にもつながるからだ。例えば、一番人気の「システマ ゲンキ」という歯ブラシはヘッドが大きく、効率よくブラッシングできるため、「忙しい朝や疲れて帰った夜は歯磨きできない」という人から好評で、リピーターも増えているという。さらに、歯磨き剤や洗口剤を試せる「テスティングコーナー」も設置。本当に自分に合った商品が選べる店づくりにこだわった。