国内で増加傾向にある、デジタルサイネージ。海外ではどのようなトレンドが生まれているのだろうか。LIVE BOARDの現王園章太さんが2023年のトレンドを踏まえ2024年のテーマを解説する。
大型メディアのフォーマットの多様化
まずひとつに、2023年は海外で大型サイネージのフォーマットの多様化が顕著でした。これまでは大型メディアでもテレビCMと同様の16:9が基本型でしたが、あまりその形にこだわらなくなってきている気がします。
たとえば2023年9月に一般公開された、ラスベガスにある球体の形をしたアリーナ「Sphere」。球体の高さは約110メートル。その内側はもちろん、外側にもLEDが張り巡らされており、そこで映し出される球体の映像は大迫力です。また2022年にオープンしたロンドンの「Outernet London」は、ビルがまるごとデジタルサイネージになっているようなエンタメ施設。外壁が超大型サイネージに覆われていて、外から見てインパクトがあるのはもちろん、内部も部屋の上部と四方がLEDパネルで覆われており、こちらもすごい没入感。どちらも自社の施設に関連した告知も放映しつつ、広告の放映も行っています。


ラスベガスにある球体の形をした高さ約110メートルのアリーナ「Sphere」。その外側もデジタルサイネージになっており、インパクト大。©Sphere Entertainment
こうした海外のサイネージのフォーマットの多様化に伴い、国内でも変化が予想されます。大型サイネージの設置が増える一方で、設置できるスペースには限りがあります。たとえば駅構内の柱を丸々サイネージにする、施設の階段壁面が全てサイネージ化されるなど、限りあるスペースを活用したユニークな媒体の開発がより進んでいくのではと考えています。
また同時に、広告主も特殊なフォーマットのサイネージに対応する専用クリエイティブをつくることに積極的になってきている印象です。海外ではOOHにタレントを起用することが日本と比べて少ないので、クリエイティブの面では自由度が高く、さまざまなアイデアを試せることが後押しになっていますが、国内ではサイネージメディアの普及に伴い、サイネージに特化したクリエイティブを制作する会社も増え、コストが下がってきたことで、より新たな表現が登場すると考えています。
数とターゲティングで印象付けるネットワーク型DOOHが活性化
2つ目は、単体のOOHのビジュアル的なインパクトではなく、掲出面数と細分化したターゲティングで訴求をするような、ネットワーク型DOOHを活用した広告です。
2023年のカンヌライオンズのアウトドア部門でグランプリを受賞した...