コロナ禍を経て、街中のOOHが活気を取り戻してきた。とりわけ、利用者の多い駅の近辺に設置されることの多い大型ビジョンはそのニーズが高まっており市場規模は2022年の91億円に対し、2027年は225億円と推計されている(「デジタルサイネージ広告市場調査2023年」CARTA HOLDINGS /デジタルインファクト調べ)。特に規模が大きく人気の高い5つの媒体について相性のいい表現やクライアントの傾向などを聞いた。
東急エージェンシー「田園都市線渋谷駅ビッグサイネージプレミアム」
(東京・渋谷)
東急田園都市線と東京メトロ半蔵門線のハチ公改札付近にある、全長約25メートルのデジタルサイネージ。

ターゲット層:20~30代がメインターゲット。25メートルという長さと媒体前の流動量の多さから、媒体の視認時間が長く多くの人の目に留まりやすい。さらに2023年5月の新型コロナウイルスの5類移行に伴って来訪者が増加したことや、渋谷の再開発による地下導線の整備により、流動量がさらに増加しつつある。
相性のいい広告表現:長さがあり歩行者と近い位置に設置されている媒体なので、人やモノが移動する表現など画面をフルに活用した迫力のあるクリエイティブと相性が良い。これまではテレビCMやWebCMを流用した内容が多かったが、2023年は横長の媒体の特性を活かしたオリジナル映像での出稿が増加傾向にある。そのほか、全画面を背景に見立てたクリエイティブ表現で、あたかも歩行者の景色が動いているかのように感じさせる手法や、3D映像表現を駆使した直感的な驚きを感じさせる事例が目立った。
出稿状況:2022年、2023年ともに100%稼働。特にハイブランドやWeb配信サービス系各社の出稿が目立っている。
ヒット「シンクロ7 シブヤヒットビジョン」
(東京・渋谷)
渋谷駅周辺で広く視認できる、3棟のビルに設置された全7面構成のデジタルサイネージ。

ターゲット層:スクランブル交差点の通行人だけでなく宮益坂下交差点の通行人にも接触できる媒体。渋谷は若者が多く集うイメージがあるが、宮益坂下交差点付近は20~50代と幅広い世代が集まるエリアのため、渋谷の屋外広告媒体の中でもより全人口向けだと言える。
相性のいい広告表現:複数面で連動放映できるという媒体特性から、キャラクターなどがビルを移動するような、媒体同士が連動するクリエイティブと相性が良い。L字型やコの字形状を活かした肉眼で3Dに見える表現や、屋上面と壁面を1面として表示させる表現も可能。また2023年は既存の16:9の素材とバナーを組み合わせた表現が多かったが、16:9の素材を拡大しサイネージの全体に映すなど多様なケースが増えてきた...