青いバナナも販売「もったいないバナナ」なぜ生まれた?SDGs達成への挑戦
青果の販売やその加工食品の製造販売を手がけるドールは、2023年8月から、都内一部のスーパーマーケットやオンラインで熟す前の青いバナナを販売し始めた。生の状態では食べられないものを、一体なぜ?背景には同社が2020年から続けてきた、SDGs達成のための取り組みがあった。
地球環境と向き合うサステナブルなデザインの理想形
SDGsやサステナブルへの取り組みはファッション業界にも広まっている。三井不動産とスマイルズが2023年6月、千葉・木更津にオープンした「KISARAZU CONCEPT STORE」は、リサイクル・アップサイクルの商品の販売だけではなく、「コントリ」という行動を通じて新たなサイクルの構築を目指している。
施設内は細かくエリアが区切られている。
2023年6月、三井アウトレットパーク木更津のすぐそばに誕生した三井不動産の「KISARAZU CONCEPT STORE」。この施設は、さまざまな企業が抱える規格外品・デッドストック品の洋服を商品として提供している。そのほか、規格外の食材を使った「THE OPEN CAFE」や、洋服の新しいサイクルを生み出すための活動を紹介する「FACTORY LAB」など、さまざまな消費行動に絡めたスポットを用意しており、楽しみながらSDGsに貢献できる仕組みだ。
施設への入場には、1回300円の支払いが必要となる(中学生以下は無料)。その行動自体を「コントリ」と呼んでおり、コントリュビューション(貢献)に由来する。
コンセプト設計や体験デザイン、空間デザインを担ったのは、ブランドコンサルティングなどを手がけるスマイルズ。同社は企業の倉庫に眠る規格外品やデッドストックに光を当てる蚤の市「PASS THE BATONMARKET」を運営しており、今回の協業が実現した。
この施設を担当する三井不動産 商業施設本部の新保斉大さんは「SDGsの推進となると、to Cでは勉強色が強いものが多く、to Bでは展示会のような取り組みが多くなりがちでした」と話す。「スマイルズのSDGsの取り組みは、まずお客さまが楽しんでいて、振り返ってみるとそれがSDGsになっている、という流れができていました。お客さまの体験にプライオリティが置かれていたんです」(新保さん)。まさにそうした施設にしていきたいという思いから、スマイルズにプロデュースを依頼した。
スマイルズの取締役社長 野崎亙さんは、そもそもSDGsの取り組みで重要なのは、リサイクル・アップサイクルした商品そのものではないと話す。「リサイクルなどで新しく生み出した商品をどうやって生活者に届けていくか、いかに商流として商品を流し切るか、という部分まで考えることが重要です」。
さらに野崎さんは、生活者にSDGsを理解してもらうには、普段の生活では距離が生じやすいSDGsを自分ごとにする必要があるといい、「生活者は初めから商品の背景を知りたいわけではないので、いきなり“ここでの買い物がSDGsに繋がります!”と言われてもピンとこないと思います」と語る…