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地球環境と向き合うサステナブルなデザインの理想形

「ゼロエネルギー」を消費者の価値にどう変換する?

アドバンテック 「ITOMACHI HOTEL 0」

アドバンテック 「ITOMACHI HOTEL 0」

2023年5月、愛媛県西条市にゼロエネルギーをうたう宿泊施設「ITOMACHI HOTEL 0」が開業した。消費エネルギーを実質ゼロにしたという点が特徴だが、「それだけでは宿泊する理由にならない」と、プロデュースを手がけたGOODTIMEの明山淳也さん。どのように消費者の価値に転換させていったのか。

消費エネルギー「プラマイゼロ」のホテル

消費エネルギー「プラマイゼロ」のホテル「ITOMACHI HOTEL 0」が位置するのは、愛媛県東部の西条市。地上2階、地下1階から成り、延べ床面積は約3000平方メートル。57室の客室を有している。建物の設計は隈研吾建築都市設計事務所が手がけた。「ゼロエネルギー」とは、消費するエネルギーを減らして同時にエネルギーをつくることで、年間のエネルギー消費をプラスマイナスゼロにすること。ホテルには太陽電池が設置され、施設で使うエネルギーを自家発電している。環境省が定める「ZEB」(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)の認証も取得した。

ホテルをプロデュースしたのは、GREENSPRINGS(東京・立川)、白井屋ホテル(群馬・前橋)、GOOD NATURE STATION(京都)なども手がけてきたGOODTIME。代表取締役の明山淳也さんは、「ゼロエネルギーホテル」という方向性が決まってからプロジェクトに参加した。その際に考えたことをこう振り返る。「ゼロエネルギーの実現はもちろん素晴らしいことで、特にメディアの方々から注目を集めるだろうと思いました。一方で、それだけでは一般の宿泊客の方々にとって愛媛まで足を運ぶ理由になるとは思えなくて。ゼロエネルギーという価値を、消費者の価値にどう転換していくかを考えていきました」。

愛媛県西条市に2023年5月にオープンした「ITOMACHI HOTEL 0」。年間のエネルギー消費が実質ゼロとなっている。写真:YoshiroMasuda

地産地消は地域発展にも繋がる

そこで考えたホテルのコンセプトが、「ゼロからめぐる愛媛のたのしみ。」。「『ここだけ』の価値である愛媛の魅力を打ち出すとともに、地産地消を通じて省エネルギーに寄与する意図もあります」(明山さん)。館内のインテリアやアメニティも、このコンセプトに沿ってつくっていった。

カフェでは愛媛…

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