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SNSに最適化するクリエイティブ攻略

なぜ「Roblox」?カギは「共創」、企業精神を体現したゲーム空間

本田技研工業/パワープロダクツ「Honda Rewired」

本田技研工業は3月9日から、ゲーミングプラットフォーム「Roblox」で芝刈り機、除雪機、耕うん機などの生活を支える製品群=「パワープロダクツ」のグローバルキャンペーン「Honda Rewired」を実施。遊びながら企業理念を感じられるゲーム体験を提供している。

「Honda Rewired」のキービジュアルと、グローバルで展開した告知ムービー。

遊び手・つくり手双方への企画を用意

Robloxはアメリカに拠点を置くRoblox社が運営する、ゲームに主軸を置くメタバースプラットフォームだ。2006年にローンチされ、現在月間5500万人以上のユーザーを有している。Roblox上のゲームはほぼ全てユーザーが制作して公開したもので、ユーザーはゲームを自由につくれる/遊べる仕組みだ。

プログラミングの専門知識が無くとも、制作者向けのソフトウェア「Roblox Studio」を介して直感的にゲームのつくり手になることができる。もちろんゲーム上ではほかのユーザーとコミュニケーションをとることもできる。主なユーザー層がアルファ世代~Z世代(1990年頃~2010年頃に生まれた世代)と年齢層が低いのもユニークなポイントだろう。

そんなRoblox上で、本田技研工業は今回、ゲーム空間「Honda Rewired」を公開した。そこではゲームの遊び手/つくり手双方の体験を提供している。遊び手としては、1段階目として「パワープロダクツ」と総称する8つの製品(ブロワー、芝刈り機、船外機、電動パワーユニット、除雪機、耕うん機、刈払機、水ポンプ)を模したアイテム(=モジュール)を手に入れることができる。

2段階目として、手に入れた製品を使って“住民”のお悩みを解決すると、3段階目として「チートモード」が使えるように。たとえば水ポンプを手に入れて(1段階目)、水を引きダムを使えるようにすると(2段階目)、ダムの水を使って自由に高く飛び回れるようになる(3段階目)といった具合だ。

一方つくり手向けには、モジュールをチート(改変)して遊べるように、その3Dデータとスクリプトを公開。さらに他のゲーム空間に持ち込めて、その構築にも使えるようにした。パワープロダクツの製品を疑似体験できるだけでなく、より想像力豊かに遊べるようになっている。モジュールを用いて制作したゲーム空間のコンテストも実施した。

ゲーム空間に入ってすぐの「ショールーム」(左上)と、モジュールを使う様子。パワープロダクツの8つのモジュール(ブロワー、芝刈り機、船外機、電動パワーユニット、除雪機、耕うん機、刈払機、水ポンプ)を手に入れて、それを使って“住民”のお悩みを解決すると、「チートモード」が使用可能に。モジュールの3Dデータとスクリプトも公開されているのでユーザーが自由に改変でき、他のゲーム空間に持ち込んで使うこともできる。

パワープロダクツの理念を体現

なぜ今回、この企画を実施したのか。本企画のクリエイティブディレクターを務めたCHERRYの贄田翔太郎さんは、「オリエンはパワープロダクツが若い世代に世界で愛されるようになるための企画を求める内容だった」と振り返る。「パワープロダクツの顧客は比較的年配の方が多いため、若い方々にもブランドのことをもっと知ってもらいたい、という課題感を伺いました。パワープロダクツと人々を再度繋ぐ(rewire)ためにはどうすべきか。オリエンの時点でメディアは指定されていませんでしたが、対象となる世代を考えると、体験面からもメタバースを活用するのが良さそうだと考えました」(贄田さん)。

国産メタバースも多数ある中でRobloxを選んだのは、本田技研工業の理念との親和性が高いと考えたためだ。「さらに話を伺う中で、パワープロダクツでは...

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