日本マクドナルドが1月13日に公開した楽曲『ティロリミックス』とそのMV。マクドナルドの店舗でポテトが揚がった時に鳴る「ティロリ」音をベースに、Adoの『踊』とasmiの『PAKU』をリミックスした楽曲となっている。この曲を軸に、クリエイターをも“リミックス”したさまざまなコンテンツをSNS上でローンチ。改めて、その全貌を聞いた。
10代のカルチャーとリミックス
「企画の発端は、ポテトを通してZ世代のマクドナルドへのブランド力を高めたい、というオリエンでした」と振り返るのは、電通のクリエーティブディレクター 佐藤雄介さん。これまでも「マックTHE チキン」「アジアンバーガーズ」などの日本マクドナルドの商品の広告を担当してきて、若者向けコミュニケーションに定評があり話が来たという。2022年4月ごろに企画が始動していた。
ベースにしようと考えたのは、「ティロリ」音。マクドナルドでは2019年3月にも、この音をベースにしたTikTokの動画投稿コミュニケーション「#ティロリチューン」を実施し、総再生回数1億5000万回を超える反響を生んでいた。「ティロリ音にはさまざまな可能性を感じていて、機械のアラーム音が音楽コンテンツとして、映像やゲームへと広がっていったら新しいと考えました。そこから『ティロリ』と10代のカルチャーをリミックスする『ティロリミックス』という言葉を思い付き、これが企画の方針になっていきました」(佐藤さん)。
ティロリ音にもとづき、自然と楽曲自体が企画の核になることに。そこからできるだけ多くの人々に認知され興味を持ってもらえるよう、企画を「面」に拡大していった。
「10代との親和性の高い、『音楽』『ゲーム』『二次創作』『ニューテクノロジー』という4つのアプローチから企画をつくっていきました。それぞれ、MV、TikTokゲーム、ティロリ音解禁、そして、AIジェネレーターというアウトプットになっています。全体で大切にしたのは、一般の方を含めた多くのクリエイターと協業(=リミックス)すること、そしてマックのポテトが若者のアイコンとなるように『新しいイメージ』を追い求めることでした」(佐藤さん)。
「ティロリ」音解禁で二次創作が増加
まず楽曲制作から始めた。佐藤さんたちが相談をしたのは、音楽プロデューサーの冨永恵介さんだ。「ティロリ音と2曲の楽曲のリミックスに挑戦したい」と相談し、結果としてAdoとasmiという、それぞれ熱狂的なファンを有する組み合わせが実現した。ミュージックビデオは、Z世代が新しく感じ、マクドナルドらしい王道感を演出できる表現を追求。それぞれ異なるイラストレーターがデザインをした「Odoちゃん」と「PAKUちゃん」、そして「ポテト3兄弟」を、質感があるクレイアニメ風のCGで表現している。
1月13日のMV公開に合わせ、同日の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)で1度限りのテレビCMを放映。またそのティザーとして、マクドナルド公式TwitterやAdoのTwitterで予告の投稿をしていた。その後マクドナルド店舗でも『ティロリミックス』を流すなど、MVを軸に、マス媒体への出稿や店頭コミュニケーションを展開していった。
1月17日に“解禁”した「ティロリ音」を機に、二次創作が拡大。「これまでもティロリ音で遊ぶネットミームはありましたが、公式が音素材を配布したことはなかったので、ついに解禁した、とメディアでもニュースになりました。これを機に、ティロリ音にラップを乗せたり他の楽曲とリミックスしたりという二次創作が進み、より音楽の専門性の高い方々に企画が広がっていった感覚です」(電通 プランナー 荒木雅さん)。
楽曲『ティロリミックス』のリミックスの裏側
Adoの『踊』とasmiの『PAKU』という楽曲の選定をクリエイティブチームと共に進め、企画の肝となる楽曲『ティロリミックス』の音楽プロデューサーを務めたのは冨永恵介さんだ。「個人的には、マクドナルドの店内で、実際にポテトを揚げているアルバイトの若者に刺さり、『よっしゃティロリきたー!』と...