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SNSに最適化するクリエイティブ攻略

テレビとTikTok連携のカギは?三太郎とクリエイターが踊るauの年始のCM

KDDI/au「ココロ、オドルほうで。」

2015年にスタートし、今年9年目を迎えたauのCM「三太郎」シリーズ。2023年の年始のCMには、シリーズ史上初、TikTokで活躍するクリエイターが出演。テレビとTikTok、それぞれの主戦場を横断してコミュニケーションを展開している。

CMだからこそできる“夢の共演”

KDDIは1月1日、auのテレビCM「ココロ、オドルほうで。」篇の放映を開始した。「♪ココロ オドラセロ オドラにゃ損損」という歌詞に合わせて、「三太郎」こと桃太郎・浦島太郎・金太郎らレギュラー陣とTikTokのクリエイターたちが踊る内容で、本シリーズで踊りをメインに据えたのは今回が初めて。CMの楽曲『ココロ、オドルほうで。』はmeiyoが歌っている。

オリエンテーションでは、テレビCMの出稿量は例年よりも絞り込みつつSNSや動画プラットフォームに注力し、そこから拡散させていきたいと方針が伝えられた。「ココロ、オドルほうで。」というメッセージ自体について、シリーズ開始当初からクリエイティブディレクターを務める篠原誠さんはこう説明する。

「2023年がどのような1年になるかを予想して考えていきました。マスク着用の自由化や、移動制限の撤廃で本格的に“コロナが明ける”という希望がありつつも、円安や緊迫する世界情勢などから不安も抱くだろうと。でもそんな先行き不透明な状態でも、『ココロオドル』ことを自ら選択していこうという意味を込めて、『ココロ、オドルほうで。』というメッセージを掲げました」。

同時に企画の裏で、チームとして「三太郎シリーズにダンスという新しい要素を入れたい」という思惑も。「最終的にメッセージとダンスの要素を重ねる形で、今回のCMの企画の大元をつくっていきました」(電通 zero プランナー 野崎賢一さん)。

今回の企画での拡散性を重視する、という要件には「チャレンジ」などでユーザーが自己表現する文化が根付いているTikTokとの親和性が高いと考えた。「CMとTikTokでの施策を切り離さず、地続きにして連動させることで、より拡散力を高められるだろうと考えました。そこで主にTikTokで活躍しているクリエイターの方々に、テレビCMにも登場してもらうことにしたんです」(篠原さん)。

今回CMに出演したクリエイターは、KOTARO IDE、ローカルカンピオーネ、中野亜紀、@小豆の4組だ。「海外のダンスコンクールで優勝経験のあるKOTAROさんやYouTubeの“踊ってみた”動画が話題の@小豆さんなど、似て非なる分野で活躍されている方を起用しました。ファン層の重なりを少なくすることで、できるだけ多くの方々に広がることを期待してのことです。それぞれトップで活躍されているので、ファンにとっては面で見た時に“CMだからこそ実現した夢の共演”という驚きがあったのではと思います」(電通PR コンサルティング PRプランナー 山崎珠里さん)。

テレビCM
1月1日から放映を開始したテレビCM「ココロ、オドルほうで。」篇。サビの部分で「三太郎」ら主要キャストやTikTokクリエイターが総出演し、特徴的なダンスを皆で踊る。CMにTikTokのクリエイターが出演することで、各クリエイターのファンへの広がりを狙った。

お正月に最大の盛り上がりを

テレビCMとTikTok連携のカギは、テレビCMの公開前からTikTokでそのティザー投稿を仕込んでいた点だ。これにより、1月1日の公開時の話題を最大化させることを狙った。ティザー投稿としては、12月28日から4組のクリエイターが「三太郎」シリーズのCMのセットを背景に私服で踊っている様子を、TikTokでリレー形式で順次投稿。曲名も「1月1日に解禁されます!ーなにやってもうまくいく!?」とし、歌手名も伏せた。

また1月1日からはTikTok上で...

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