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xR時代のテクニカルディレクション

「SR(代替現実)」言葉の定義と歴史

岡田太一

xRやメタバースなどへの注目が高まる中、広告領域でも新たなテクノロジー活用の可能性が広がっている。CGなどによるリアルタイム表現のR&Dに多数取り組んできた岡田太一さんが解説する。

SRに近い概念をテーマに据えたVRゲーム「Virtual Virtual Reality」(Tender Claws)。

「SR(代替現実)」言葉の定義と歴史

「SR」はSubstitutional Realityの略であり、代替現実と訳されます。言葉が広まったのは理化学研究所による「Substitutional Reality System」という研究からです。

この研究ではVR技術を用いて限りなく現実に近い虚構を見せたらそれを人はどう認知するのかを調べ、その認知の操作を試みています。手法としてはまず被験者にHMD型のデバイスでリアルタイムの360°映像を見せ、HMD経由の映像が現実であると充分に認識させます。その後、被験者に気付かれないよう配慮した上でHMD上の表示を過去の収録映像に切り替えると、被験者はHMD内に表示される内容をリアルタイムの現実だと誤認することになります。収録映像内で今見えているものが収録だとネタばらしをすると、被験者はHMD内の映像が現実ではないことに気付きます。

そのまま、また被験者が気付かないようにリアルタイム映像に切り替えると、今度は被験者は現実に起こっていることを過去の収録映像だと誤認します。これを繰り返していくことで、被験者の現実認識を実験者が自由にコントロールすることができるようになります。そのうちに被験者は...

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