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ニューノーマルで変化 空間デザインと体験価値

気分は小人? 13倍スケールのテーブル・イスが並ぶ新社屋

春華堂「スイーツバンク」

「うなぎパイ」で知られるお菓子屋 春華堂。静岡県で創業して以来、地域とのつながりを重視した店舗展開をしてきた。そんな春華堂の新社屋が2021年4月に完成する。巨大なイスや紙袋のオブジェが目立つ、突飛なつくりの建物。その意図を聞いた。

高さ約16mのイス。座面や側面の自然な湾曲は、試行錯誤の末のもの。木目のペイントは、専門の職人による手仕事だ。

うなぎパイの原点がモチーフに

1887年、静岡県岡部町(09年に藤枝市と合併)で創業した春華堂。その後浜松に根づき、初代社長 山崎芳蔵さんが甘納豆を売りはじめたことにお菓子屋としてのルーツをもつ。その春華堂が21年4月に開業を予定しているのが、同社の新社屋が入る複合商業施設「スイーツバンク」だ。敷地内は、春華堂本社が入る北棟(約1865平米)と、浜松いわた信用金庫が入る南棟(約783平米)から成る。北棟には、一般向けの春華堂の菓子の販売店や、カフェも入る予定だ。

「今回スイーツバンクを建てているのは、浜松市中区の神田町。ここは春華堂が40年以上『うなぎパイ』の製造工場をおき、いわば地域の方々に育てていただいてきた大切な場所です。その工場が老朽化のため、2017年に取り壊されることに。今後もこの場所に根を張り、さらなる発展をしていきたいという覚悟のもと、今回新社屋を建設するに至りました」と、同社 常務取締役 間宮純也さんは話す。

春華堂は直営店の展開を浜松市に限るなど、これまで地域に根差して事業を広げてきた。スイーツバンクを、製造拠点でもある「うなぎパイファクトリー」や、春華堂の菓子を幅広く扱う「nicoe(ニコエ)」に続く、浜松市の観光名所にしたいという狙いもあるという。

「ところで、うなぎパイのキャッチフレーズ『夜のお菓子』の由来を知っていますか?」と間宮さん。「うなぎパイが生まれた1961年は、高度経済成長期の真っただ中。女性の社会進出も徐々に進み、子どもも学校や塾へ……など、家族みなが食卓を囲む機会が少なくなっていたそうです。うなぎパイは、そんな状況でもせめて夜だけはお菓子を囲んで家族で素敵な時を過ごしてもらいたい、と生まれたものでした。スイーツバンクではその原点に立ち返り、テーマを家族で集う『アニバーサリー』に。そこから派生し、家族が囲むテーブル、そしてイスをメインのモチーフにしています」。

その様子は、上から見ると分かりやすい。上空から見ると、四角いテーブルと丸いテーブル、その周りに計5脚の椅子が置かれたさまが浮かび上がる。完成に先立ち、20年12月13日には「92%の春華堂本社 お披露目会」と題し、SNSで応募のあった人に向けた内覧会を実施した。

それでは、その気になる「92%」の内部を見ていこう。駐車場を背に建物を見上げると、大きく右側(北棟)が春華堂の本社、左側(南棟)が浜松いわた信用金庫にあたる。エントランスの右手に並ぶのは、巨大なイス、これまた巨大な春華堂の紙袋、重ねられた書籍、ケーキの箱など。そこから北棟に進み、1階の奥にはカフェや菓子の販売店が入る予定(工事中)。カフェの近くにも、高さ2mほどのティーポットやカップが配置されている。2階にはオフィスへと続く入り口がある。

一方南棟は信金のため、比較的装飾が抑えられたつくりに。それでも中には巨大な万年筆があったり、建物の...

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