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ニューノーマルで変化 空間デザインと体験価値

ライフスタイルシーンごとに提案 中古車販売の新たな空間デザイン

横浜トヨペット「U-BASE 湘南」

「中古車の販売店」と聞くとどんな空間を思い浮かべるだろうか。値札が貼られた多数の車が無機質に並ぶ──。そんな従来の販売店とは一線を画し、ユーザーのライフスタイルにあった車の楽しみ方を提案する「U-BASE 湘南」が誕生した。

「U-BASE 湘南」店内。「You」や「遊」、「友」からとった「U」と「基地」を表す「BASE」を組み合わせた店名。(上段)「キャンプ ZONE」、(下段左から)「SUV ZONE」「スポーツ ZONE」。

舗は国道467号線沿いに位置する。車の販売店が多い通りのため、ネオンサインを配したりと、外観も目立つようにこだわった。

ディーラーの変革期に差別化への一手を

トヨタ系列販売会社の横浜トヨペットは2020年11月21日、「自分だけの1台を創る」をコンセプトにした中古車の販売店「U-BASE 湘南」を神奈川県藤沢市にオープンした。主なサービスは、中古車の展示販売のほか、次世代モビリティの情報発信、アウトドア用品の提案・販売、車両のカスタマイズなど。「キッズコーナー」を中心として、店内を「アウトドア」「SUV」「キャンプ」「アルファード」「スポーツ」「ネクストモビリティ」の6つのゾーンに分け、顧客の車の好みやライフスタイルに合った商品を提案する。

「U-BASE 湘南」は電通ライブ発案のもと、さまざまなライフスタイルを提案するジョージクリエイティブカンパニーが空間デザインを担当し、生み出されたものだ。企画のきっかけについて、電通ライブ スペース&ビジュアルデザインルーム プロデューサー 高畑憲介さんは、ディーラーが変革期を迎えていたことが大きいと話す。

「トヨタ系列の販売会社は、トヨペットやトヨタカローラなど4つの販売チャネルがあり、以前はそれぞれ異なる車を販売していました。しかし最近は全ての店舗で同じ車が買えるようになりつつあり、車種での他店との差別化がしづらい状態に。また、中古車市場が盛り上がっている現在、単に車を並べているだけではなかなか選ばれません。そこで今回、トヨタ系の3つの販売チャネルをもつウエインズグループから新しい取り組みを始めたいと話があったんです」。

ジョージクリエイティブカンパニーは、以前も電通ライブとともに横浜トヨペットが手がける「i-connect」という店舗のショップデザインを担当した経緯がある。同社 代表取締役社長 天野譲滋さんは「i-connectは商業施設の中にある、カーライフをテーマにした情報発信のための店舗。車の販売はしていません。普段はあまり車のショールームに行かない主婦層や子連れの親向けのタッチポイントとして機能しています。子どもが遊べるスペースをつくったり、イベントやワークショップを開いたりして、気軽に車について相談できる場をつくりました」と振り返る。

そこから高畑さんが考えたのは、車好きの男性だけでなく家族全員をターゲットとし、そのライフスタイルに寄り添う店舗だった。「中古車の強みは、制約の多い新車と違い、カスタマイズできる幅広さにあります。イメージしたのは家のリノベーション。新築よりも安い値段で買ってもらい、その差額の中で自分らしくカスタマイズできますよね。たとえば若者だったらソロキャンプに行ける車、ファミリー層だったら大人数で楽しめる車など、“自分だけの1台を創る”ことができる...

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