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楓セビルのアメリカンクリエイティビティ NOW!

コンテンツ・マーケティングからアートビデオへ

楓セビル

「THE Eleven O’clock」(FINCH)

コンテンツ・マーケティングと呼ばれるマーケティング手法が定着している。伝統的な広告の効果が減少し、広告主はブランドを消費者の頭に叩き込むために、ブランド・ストーリーを提供する手段を思いついたのだ。消費者がこのマーケティング手法に興味を持ち始めたのは、今は古典となっているBMWのブランデッド・エンターテインメント「The Hire」からである。

当時BMWのエージェンシーであったファロンは、Clive Owenという無名の俳優を起用し、ジェイムズ・ボンド風の活劇ビデオのシリーズを制作。数分のショートフィルムにも関わらず、映画と同じようにトレーラー(予告編)からポスター、Web広告などで宣伝したこのビデオは、主役のClive Owenを一躍スターにしただけでなく、カンヌライオンズを含むさまざまな広告賞を受賞、4500万人という視聴者を集め、BMWの売り上げを17%上昇させるという実績を残した。

「ONESHOW」が作った「ONESCREEN賞」

BMWのこの大成功は、多くのコンテンツ・マーケティングの誕生を促した。P&Gのブランド Alwaysの「#LikeAGirl」、ホンダのOKGoを起用した「I won’t let you down」、Pereira O'Dell制作によるインテルと東芝の「Beauty Inside」など。カンヌライオンズもONESHOWも、D&ADも、"ブランデッド・エンターテインメント"のカテゴリーを作り、賞を与え始めた。

一方、このマーケティング・トレンドは、別のところで新しい動きを生んだ。ショートビデオのブームである。「広告とは関係ないところで、短いが質の高いビデオを作っている人が無数にいる。この人たちが作る制作費の安い、極めて個人的な意味を持つショートビデオは、高額な制作費をかけたブランデッド・エンターテインメントに勝ると劣らないエンターテインメント性とハリウッド級の質を持ったものだ」とJonathan Jirgisは言う。彼は、広告賞「ONESHOW」で知られるONE SHOW FOR CREATIVITYでビデオ・プロデューサーとして働いている。彼自身、いくつかのショートビデオを制作しているディレクターだ。

ある日、ショートビデオの仲間と話していた時、表舞台に出てこないビデオに賞を与えることで、インターネットで公開されるビデオの質の向上を図ってはどうかというアイデアが持ち上がった。ジョナサンはそのアイデアを自分の職場であるONESHOWに提案。「広告以外の場面で活躍する才能に賞を与えるというアイデアは、ONE SHOW FOR CREATIVITYという名前を持つわれわれの使命にぴったり」と、ONESHOW 副社長であるヤッシュ・エガミが直ちに賛成。こうして、2012年、「ONESCREEN」なるショートビデオの賞がワンショーの下に誕生した。

2019年ONESCREEN賞には、1200を超える応募が

ONESCREENは、当初無名のビデオ制作者を対象としているだけに、ジョナサンの仲間を通してのクチコミだけで始まった...

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