編集部が街で気になった様々なデザイン
BOOK
二階堂和美『負うて抱えて』
(晶文社)
- 装丁/矢萩多聞
- I/nakaban
ジブリ映画『かぐや姫の物語』の主題歌で知られる二階堂和美さんのエッセイ集は、独特の書き文字のタイトルと線画のイラストが目を引く。「二階堂さんは歌手であり、僧侶であり、お母さんでもある。音楽家というより、さまざまな面を持つエッセイストが書いた本として、誰もが手に取りやすい本を目指しました」と、装丁を手がけた矢萩多聞さん。
この本は中国新聞での連載を書籍化したもので、表紙、中面には連載時にイラストレーターnakabanさんが描いたイラストが活かされている。「デザインを考え始めた頃、偶然手にしたnakabanさんが作ったリトルプレスのイラストが全部モノトーンで、いつもの色を使ったイラストと違い、とても新鮮でした。新聞連載時のイラストもモノクロだったことから、そのまま活かそうと決めました」。
濃いスミのサタンブラックと緑の二色刷りのタイトルは、矢萩さんが自らペンで描いたもの。「ある本の装丁をきっかけに下手でもいいから自分で描こうと決めたんです。PC上だけで仕上げるのではなく、手の感じを残すことができたらと思いながら、いつも作っています」。
表紙と裏表紙にわたって掲載されているイラストのUV加工と紙の質感が、手にした時の本の存在感を増している。
PACKAGE
アースジェットほか
(アース製薬)
- 企画制作/アース製薬
アース製薬は、アースジェットをはじめとする「虫ケア用品」において、「虫ゼロ缶」の発売を開始した。「虫ゼロ缶」とは、虫が描かれていない缶のこと。現在、従来品と並行して販売している。「害虫対策として家に置きたいけれど、リアルな虫のイラストが嫌で手に取りたくない。従来のデザインでは部屋の雰囲気にそぐわないといった声が、ここ数年お客様相談室に寄せられていました」(同社ブランドマーケティング部 濱本玲奈さん)。
そこで虫のイラストを入れないことを第一に掲げ、スプレー缶のデザインをリニューアル。試行錯誤する中で、直線や曲線を使って規則的に描かれたジオメトリック柄を採用した。この柄を選んだのは、虫をはねのけるバリアーとしての効果と安心感をイメージさせることから。色はそれぞれの商品のカラーを踏襲したが、既存のブランドロゴは使わず、英文で記している。その分、それぞれの缶に既存のブランドロゴを使ったアイキャッチシールを貼り、「効果そのまま」というコピーでデザインだけが変わったことをメッセージした …