大きな口をあけて、何やら言い合っている2人。でも、その顔はとてもすっきりしている。クロレッツを食べた時の気分をポップな色合いのビジュアルで表現してくれたのは、林俊美さんです。
コニュニケーションを応援するガム
ガムとタブレット、クロレッツには2つの商品がありますが、今回のテーマは、ガムでした。最近、自分があまりガムを噛まなくなったこともあり、改めてガムの価値について考えました。また、掲出されるのは東京メトロの窓上。ターゲット層である30~40代のビジネスパーソンだけでなく、ガム離れをしている若年層にもクロレッツを食べてもらうきっかけをつくれたらいいなと感じていました。
ガムを噛む行為ってスタイルだと思うんです。ちょっとしたアンチ体制というか。クロレッツがガムを代表して、体制に迎合しない態度を応援するような存在になれたら、多くの若い人に目を向けてもらえるじゃないかと想像しました。
ちょうどこの制作依頼をいただいた頃に、ある仕事で初めてお仕事をする目上のクライアントと、制作について腹を割って話しをする機会がありました。それまでは相手がどんなことを考えているのか勘ぐるばかりで、仕事が思うように進みませんでした。でも、きちんと対面してこちらのすべてを晒して会話をしたところ、その後のコミュニケーションが抜群に円滑になり、とてもいい結果を生み出すことができました。#MeTooの流れも印象深く、勇気をもって声を発することから対話が始まる、それは究極にシンプルなことだと感じていました。
こんなこともありました。ある日、私が相当疲れた顔をしていたためか、会社のエレベーターの中で同僚が「食べますか?」と、クロレッツのガムをくれたんです。その後、ガムを噛みながら仕事をしたら、すごく頭がさえて、気持ちが前向きになり、打ち合わせも進みました。自分自身のこうした経験からも、ガムのコミュニケーションツールとしての可能性を大きく感じました。
口をあけて、クロレッツを噛むことで気持ちが前向きになり、心もオープンになる。オープンな心でハッキリとモノを言い合えば、コミュニケーションはもっと円滑になる。そのことをプランナーの酒井亮祐さんが「OPEN MOUTH、OPEN MIND」というワードに集約してくれました。
そこから生まれたのが、頭をパカッと割って包み隠さず対話する2人の男性が、脳から直接握手をしているビジュアルでした。コンセプトワードをもとにブラッシュアップをする中で、シンプルに男性と若い女性がポジティブに言い合っている表現にし、フレーバー展開のあるクロレッツブランドをイメージして、カラフルに象徴化することにしました。いまよりも、ずっとダイレクトにコミュニケーションをとっていた時代の空気を取り入れたくて、イギリスのコメディ「モンティ・パイソン」のようにカラッとしたトーンで、少しレトロな質感にしています。
撮影ではプレジデントと新入社員をイメージして、モデルを選びました。ひとりずつ撮影をしたところ、写真を組み合わせても対話しているように見えない。そこで二人同時に撮影をして、岩本彩さんがアクションの指示を出しながら、生き生きとした表情を引き出してくれました。レイアウトでは、車内で見たときに口元に目線が行くように、写真の天地をあえて切っています。コピーライターの都竹玲子さんの手書きの文字と、「言いたいことは、おっきなお口で。」というメッセージと共に、クロレッツがコミュニケーションを応援するスタンスを感じてもらえたらうれしいですね。
林さんの仕事
- AD/林俊美
- 企画/酒井亮佑
- C/都竹玲子
- 撮影/岩本彩
- HM/田名網智行
- レタッチ/岩沢美鶴
- PR/橋本健次、相馬脩平
- PM/大野瑛里加