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平野紗季子さんが語る「再現性が低くて物語性」のある店と味

川島蓉子

フードエッセイストとして活躍している平野紗季子さんの名は、以前から耳にしていた。それがひょんなことから、大手広告会社の社員であるとわかってびっくり。企業に身を置きながら、フリーに近い活動をしている──「自分と似ている!」と思う一方で、企業でどんな仕事をしているのか、どうやって両立しているのか、話を聞きたくなってインタビューに行った。

老舗洋菓子店ローザーとシアタープロダクツのコラボレーション。チョコレートの紙包みのデザインをベースにしたスカーフなどを制作。

中学時代から「食べること」を発信

小さい頃から食べることが大好き、食の日記をつけていて、中学生で既に「花の中学生・サキの食日記」という本人曰く"とても恥ずかしい"ブログを発信していたという平野さん。お母さんの手料理の影響かと思いきや、さほど料理好きでなく、休日に家族で行った外食の思い出が濃いという。

誰もが幼い頃、ミニカーや昆虫、おしゃれ、キャラ、スイーツなど、自分の好きなモノやコトは持っている。ただそれを記録する、あるいは自ら発信するところまではいたらない。平野さんはなぜそうしたのだろうか──食は食べたら消えてしまうから、何らかのかたちで残しておきたかったのだという。

食や料理にまつわる仕事も考えなかったわけではないが、高校時代をニューヨークで過ごし、大学は日本にもどって進学。一方で、食にまつわる記録や発信を続けていた。転機のひとつになったのは「世田谷ものづくり学校」で出会った山本宇一さん。

食を、アートやファッションと同じようにカルチャーとして捉えて場やシーンを創っていく姿勢は、食ビジネスの経営者やプロデューサーなど、他講師陣の話と一線を画するもの。山本さんとご縁ができ、原宿の「ロータス」でアルバイトするようになった。編集者と知り合う機会があり、ライターの仕事を始めたという。

広告会社に入らずとも、フリーで働く、あるいは雑誌社の編集部に入る手もあったのではと聞いたところ、「多くの人に大きな声で伝えることもやってみたい」と思い、あえて企業に就職したのである。

ケーキの平和とみんなの笑顔を守るSAFE CAKE PROJECT。『GINZA』(マガジンハウス)2017年3月号 ロマンス特集にてお披露目。ステッカー制作は、矢後直規さん(SIX)。

リンガーハットとChampionのコラボレーション企画で、「長崎ちゃんぽんチャンピオンパーカー」を制作。

新宿伊勢丹新宿本店にてポップアップ展示「平野紗季子の(食べれない)フード天国」企画ディレクション(2015年)。

フードエッセイ「生まれた時からアルデンテ」(平凡社)。大学卒業時に出版。

大規模な食プロジェクトのディレクターを担う

入社してすぐは、コピーライターとしての修行仕事も多く、へこたれたこともあったそうだが、今は「公私混合というか、社内でも自分の好きを生かした仕事ができるようになってきた」という …

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