IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

           

アイデアで活性化 地域×クリエイターのプロジェクト

「地域の仕事」の入り口はどこにある?

「地域に関わる仕事がしたい!」――では、その入り口はどこにあるのか?地方自治体とのビジネスに詳しいLGブレイクスルーの古田智子さんと、さまざまな地方自治体に外部ブレーンとして関わる博報堂ブランドデザインの深谷信介さんに、地域の仕事を手がける方法を聞く。

地域の課題は地方自治体に集約されている

「地域の仕事」と一口に言っても、地方自治体との仕事もあれば国の地方局との仕事、観光協会や商工会議所などの外郭団体といったさまざまなケースが存在する。「窓口はいろいろですが、地域の司令塔は地方自治体です。外郭団体などの予算の出どころも多くは自治体なので、地域の仕事に興味があるなら、自治体のことを知るのが一番です」とLGブレイクスルーの古田智子さんは話す。

大前提として、自治体とは「地域の課題解決やビジョン実現のために、住民の方々からお金(税金)を預かっている人たち」であり、その仕事は「税金をその目的のために最大限の効率で使うこと」だと古田さんは説明する。そして、組織自体がその課題に対応する形で作られているということを理解するのがポイントだという。

例えば中小企業のビジネス活性という課題に対して産業振興課があり、地域の子育てを取り巻く課題に対して子育て支援課がある、という具合だ。

「自治体自体が課題解決のための組織ですから、課題解決を仕事にするクリエイターにとっては、活躍の場が広がっています。昨今はPR動画などのプロモーション分野が注目を集めがちですが、他の課もそれぞれ予算を持っています。自治体は情報発信が苦手なので、せっかく予算をつけて公告しても応募企業が集まらなかった、ということもある。こうしたチャンスが生かされないのはもったいないと思います」。

自治体は一般の民間企業のように、宣伝部のような決まった窓口はない。言い方を変えれば、すべての課が仕事の窓口になりえる。自身の得意分野が生かせる課と仕事をするという発想で考えればいいという。例えばと古田さんが例を挙げるのが、障がいを抱えた人たちが働く授産施設の製品の販路開拓だ。

「こうした施設の製品は、あまり知られていないのですが、実はとても品質がいいんです。先進的なスイーツを作るなど、製品の改良にも余念がありません。ですが、プロモーションやパッケージデザイン、ブランディングが足りないばかりに製品が売れないという課題があるんです」。製品を売り、働く障がい者たちの工賃を上げるのは全国の施設の悲願。同様に、伝統工芸の産地などもコミュニケーション面での課題を抱えている。

それぞれの地域が抱えている具体的な課題は、自治体のWeb サイトで公開されているという。「自治体は、総合計画と言われる大きな方針に沿って、施策の柱(コンセプト)と重点施策を打ち出し、それに各課の事業領域に基づく個別の行政計画を策定しています。ここを参照すれば、地域で実行されようとしている施策の背景にどのような課題があるかがわかります」(図1)。

    図1:地方自治体のしくみ

    POINT

    基本構想、基本計画、実施計画などからなる総合計画(自治体によっては、呼称が異なる場合もある)のもと、それぞれの分野で個別の行政計画が定められ、分野ごとの課題およびその背景、実施すべきとされる取り組みが具体的に示される。自治体のWebサイトなどで公開されているこうした計画を参照すれば、地域で具体的に何が課題となっているかがわかる。

特定の地域の中で自身の力が生かせる課題を探してもいいし、取り組みたいジャンルが決まっていれば地域を横断で探してもいい。「プロモーション領域だけでなく、広く課題解決の視点で見れば ...

あと59%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

お得なセットプランへの申込みはこちら

アイデアで活性化 地域×クリエイターのプロジェクト の記事一覧

「360度の景色の中にもしも泊まれたら」を実現するホテル
モーニングコールが石巻の漁師と一般の人をつなぐ
街に繰り出す拠点となるリアルインフォメーション施設
「地域の仕事」の入り口はどこにある?(この記事です)
若者の行動をそっと後押しする「結婚手帖」
若手職員と地元企業のタッグで制作したオリジナル婚姻届
県庁組織にイノベーションを起こす小さな組織
街のビジョンを発信し アイデアを呼び込むための基本構想
型破りな駅前広場が街を変えるエンジンになる
ブレーンTopへ戻る