「地球に泊まり 風土を味わう」をコンセプトに、昨年、期間限定で北海道大樹町芽武(めむ)地区に登場した「MEMU EARTH HOTEL(メムアースホテル)」。手がけたのは、小山薫堂さんが代表を務めるオレンジ・アンド・パートナーズである。
天井のないホテルで星空を眺めながら眠る
2016年8~10月の期間限定で北海道・南十勝の大自然の中に「地球に泊まり 風土を味わう」をコンセプトにしたアウトドア型宿泊施設「MEMU EARTH HOTEL(メムアースホテル)」がオープンした。ゲストは1日5組限定で、牧場内の大型テントや、屋外の「天井のないホテル」に泊まるプランなどが用意されていた。
このホテルの企画・運営を手がけたのは、オレンジ・アンド・パートナーズである。そのきっかけを、同社で新規事業を担当するチーフプロデューサー 佐藤剛史さんは次のように説明する。「代表の小山薫堂が熊本県の"くまモン"の生みの親ということもあって、当社にはさまざまな地域から地元を盛り上げてほしいと要望をいただくんです。ただ、そのすべてにカスタマイズして企画を作り、実現するだけの人的資源がありません。そこで、さまざまな地域に展開できる半パッケージ化した企画を開発することで、地域活性化の一手にならないかと考えていたんです」。
そのアイデアを練っていた最中、世の中では「グランピング」(贅沢なキャンプを意味する造語)が注目を集めていた。「箱モノを作るとリスクがありますが、グランピングなら、仮設で固定資産税もかからず、期間限定で開催できる。ポップアップでホテルとマルシェを作り、グランピング体験として提供するのは、実現可能性が高い企画だと感じました」。
オレンジ・アンド・パートナーズでは、地域の仕事をする際のスタンスとして、「観光地化されて目立つ場所をアピールするのではなく、その街の日常の中に潜む光るものを掘り起こし、観光資源にする」ことを大事にしている。
「例えば地方に行って、360度田園風景が広がる中で泊まれたら、どんなに気持ちいいだろうと思いますよね。それは"地球に泊まる"ような体験になるはずです。あるいは、地元の人は知っているけれど観光客が行くほどではなかった、夕日スポットのような場所も ...