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連続する異物混入とネット告発、情報開示はリスク対策でもある

鶴野充茂(ビーンスター 代表取締役)

ブログや掲示版、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。

食品への異物混入に消費者が敏感になる中、日本マクドナルドはネット上での話題と報道が広がったことから、異物混入に関する記者会見を開かざるを得なくなった。

不評を買った記者会見

日本マクドナルドが1月上旬に開いた会見では、出張を理由に社長は姿を見せず、別の役員が対応。謝罪はしたものの、今回のような個別の異物混入についてはその件数や内容などの情報開示も、社長が改めて会見を開く予定もないと明言した。会見は3時間にも及んだが、消費者の不安は解消されなかったと不評を買った。

従来の対応では不十分

今回起きた問題自体は、食中毒でもなければ死者が出たわけでもない。また営業やメニューに変更が出たわけでもない。従来の危機管理広報のセオリーで、あくまで「異物混入の話」として考えれば、日本マクドナルドの選択は決して間違いとは言えない。

しかし、先行事例となった「ペヤングソースやきそば」のまるか食品が全品回収と生産停止という衝撃の決定をして以降、世の中は変わった。

その後、複数メーカーの食品で異物混入が次々と明らかとなり、消費者の不安はすでに高止まり状態。ビジネス界もどう対応するかに注目した。そのため明らかに世間の関心や見方と対応には大きな温度差があったと言える。

会見を開く事案でなかったのに開かざるを得なくなった状況であり、その対応にももっと慎重さが必要だった。

ネット告発に対応する

一方で、メディアはマクドナルドを叩き過ぎだ、消費者も不寛容すぎる、異物混入くらいで大騒ぎしすぎだという見方もある。こうした問題が広がるきっかけの多くは、消費者がTwitterなどで体験を投稿するネット告発であり、企業を強く追及するムードが広がると、便乗した告発の懸念も高まるだろう。

ただ、残念ながらこれらは当事者から発信できる意見ではない。そんな状況の中で、企業としてどうするかが問われているということである。

当事者の企業が取り組むべきなのは、品質管理とルールの精度を高めることとともに、ネット告発という新しい問題に対応することだ。

情報開示はリスク対策でもある

ネット告発への対応としては、ひたすら情報開示を進めて経営の透明性を高めることしかない。ネット上での情報発信が身近になった今、企業側が情報を隠すことによって、逆に都合の悪い情報が暴露される流れが強まりやすい。そのたびに消費者に不安感や不信感が広がり、結局、企業は不本意な対応をもせざるを得なくなる。

異物混入などのクレームが仮に日常の出来事だと開示することになったとしても、多数のクレーム一つひとつに対して、どのように対応しているかを見せる方が、はるかに信頼につながりやすい。情報開示はそれ自体がリスク対策でもあるのだ。

ビーンスター 代表取締役 鶴野充茂(つるの・みつしげ)

国連機関、ソニーなどでPRを経験し独立。日本パブリックリレーションズ協会理事。中小企業から国会まで幅広くPRとソーシャルメディア活用の仕組み作りに取り組む。著書は新刊『エライ人の失敗と人気の動画で学ぶ頭のいい伝え方』(日経BP社)ほか25万部超のベストセラー『頭のいい説明 すぐできるコツ』など多数。
公式サイトは http://tsuruno.net

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